審判だけが知っているBACK NUMBER
<私が裁いた名勝負>試合開始からの奇襲7人攻撃には驚いた。
text by
田口有史Yukihito Taguchi
posted2021/08/09 07:00
左から池渕智一さん、檜崎潔さん
語り継がれる名勝負をその演者でもある、審判が振り返る。彼らしか知らない新たな景色が見えてくる。
2020年 第72回日本ハンドボール選手権 決勝
豊田合成 34対33 大崎電気
12月6日/岡山県総合グラウンド体育館
過去5年で3度優勝の大崎電気と2年ぶりの優勝を狙う豊田合成が対決。開始から7人攻撃を仕掛けた大崎がリードを奪い4点差で折り返す。だが奇襲に慣れた合成は隙を突いた速攻や、バラスケスらを軸にした猛攻で猛追。残り7秒で逆転し、最後のFTも防いで勝利した。
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「ハンドボールは身体接触も多く、白か黒かはっきりしないところもある。見る部分の受け渡しや判断の基準など、阿吽の呼吸が必要なので、審判は固定のペアですり合わせていかないといけません」(池渕智一)