Jをめぐる冒険BACK NUMBER
吉田麻也「まだ倒れるわけには…」スペイン戦のダメージは否めない それでも「メダリストで終わる」東京五輪世代の集大成を
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byYukihito Taguchi-USA TODAY Sports/JIJI PRESS
posted2021/08/04 16:30
スペインに敗戦後、森保一監督の話を聞く日本代表。心身ともに厳しい状況なのは間違いないが、結束が揺らぐことはないはず
田中碧が感じた「圧倒的な差と、やれる自信」
狭いスペースでボールを受けて前を向き、何度か縦パスを通すなど、個人としてはかなり通用したように見えた田中も、差を思い知らされていた。
「もっとやれると思う自分もいれば、まだまだ足りないという自分もいます。やってきたことは間違っていなかったと感じながら、圧倒的な差を感じた部分もある。スコア以上に差を感じたゲームだったのかなと。ただ、やれる自信もある。そこは負けたなかでも数少ない収穫でした」
スペインは田中と遠藤航のダブルボランチに厳しいマークを付けてきた。そうすれば日本のパスは回らないだろう、と言わんばかりに。一方、日本も林大地が相手のセンターバックにプレスを掛け、久保は相手の心臓であるアンカーのマルティン・スビメンディへのパスコースを巧みに消しながら応戦する。
前半はスペインが主導権を握っていたが、日本が粘り強く守って後半に突入すると、スペインのペースが鈍り、日本に流れが傾き出す。
上田と相馬の投入が勝負のスイッチだった
65分のセンターフォワード上田綺世と左ウイング相馬勇紀の投入が、勝負のスイッチだったのは間違いない。だが、満を持したはずの交代が、期待されたほどに流れを変えることはできなかった。
上田を生かすのか、それでも久保と堂安が引き続き仕留めにいくのか――。
ベンチの狙いとピッチ内での思惑が、果たしてどれだけマッチしていただろうか。
上田にとって難しかったのは、2列目が自ら仕留めるプレーにこだわっていたために、自身になかなかいい形でボールが入らなかったことだ。
だが、準々決勝のニュージーランド戦で途中出場した三笘薫にも言えることだが、途中から入って流れに乗れない場合、守備で貢献しようとしなければ、チームが苦しくなってしまう。その辺りは若さや国際経験の少なさ、ケガの影響も要因なのかもしれない。
一方で2列目の久保自身は、チャンスがありながら仕留められなかったことを悔やんでいた。