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「僕は若い世代の指導が適している」野球エリート・仁志敏久が挑む、DeNAファーム再構築の方法論とは
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/08/02 11:01
嘉手納キャンプのブルペンで三浦大輔監督と話し込む、仁志敏久二軍監督(右)。背番号87は巨人時代の8と横浜時代の7を組み合わせたもの
高卒1~2年目の若手と言えば、内野手であれば森敬斗を筆頭に田部隼人、小深田大地など将来が楽しみな選手がDeNAには揃っているが、仁志監督には彼らはどのように映っているのか。現役時代、好守好打の内野手としてレベルの高いプレーをしていた仁志監督だけに、要求が高いことは想像に難くない。
「やることは山盛りですよ。ただ僕らの時代のように理由もなくたくさん練習をさせることが上達の近道ではありません。田部や小深田などはとくにそうなのですが、まずフィジカルのほうからアプローチしていかないと技術的な変化に落とし込むことができない。ですからフィジカル面の問題を解決するためにトレーナーたちとの連携が重要になります」
そのアプローチは細部にわたるという。
「僕が選手を観察し、例えば脚の関節の動きなど動作の癖を見つけると、フィジカルのデータから改善点を見つけてもらったり、また各選手の動きの特徴を捉えながら、その動きがどこから来ているのかまでを話し合い、トレーナーには適したエクササイズを考えてもらっています」
まずは身体を正しく使い、強さと速さを身に付けること。若い選手は、技術以前にそこがスタート地点となる。
好素材だからこその課題
しかし一方で7月10日に今季初めて一軍に昇格し、そのスピードとバッティングでチームに新風を吹き込んだ高卒2年目の森敬斗の存在は、DeNAにとって明るい未来を感じさせるものだった。仁志監督から見て彼のストロングポイントと課題はどこになるのだろうか。
「資質の高い選手ですよね。肩の強さ、走るスピード、それにスイングする力は非常に強いものがあります。事実、森のフィジカルのデータは全体的に見ても高いんです。ただ、まだ一軍でやっていくために必要な技術が身に付いていません。今でも見ていて面白い選手だとは思いますが、森の場合は今後一軍の主力として考えていかなければいけない選手ですし、レギュラーになるということは他球団のショートに勝っていかなければいけない。そういったハードル設定があることを考えれば、現状はまだ半分も満たせてないと思いますね」