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内田篤人も酒井高徳も認めた「日本サッカーと欧州サッカーの埋められない差」…欧州の日本人監督に聞く“どこが一番違う?”
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2021/07/27 17:01
2010~2017年までシャルケに在籍した内田篤人。CLベスト4を経験、写真は2017年の退団セレモニーで
「よく高徳選手とも話したんですが、何を求めるかにかかっていると思います。
僕はJリーグがすごく好きだし、Jリーグのサッカーはすごく魅力的だと思っています。日本サッカーが国としてボールを大事に扱うところに重点を置くのであれば、そこを追求するのは悪くないと思う。
ただ現実的にW杯で結果を残したいとなったら、インテンシティがあまり高くないサッカーだと結果は出づらいと思います。
W杯で上位進出を狙うのであれば、ヨーロッパや南米の選手と真剣勝負で戦わなければならないので、日本とヨーロッパのサッカーの違いを認識しなければならないと思います。
日本サッカー界全員が変わらなければならないというわけではありません。
W杯に行ける選手はほんのわずか。登録メンバー23人のために数百万人を変えるという無茶苦茶なことはやる必要はない。
日本のサッカー文化がありますし、日本の現場で長年浸透してきた考え方、感覚があるので、それは大事にすべきでしょう。
ただ国際舞台で結果を残したい選手は、ヨーロッパの第一線で強度の高いサッカーを身につけて行く方がいいと思います」
「ザルツブルクの選手は夜中2時に起こしてもボールを狩る」
――欧州に移籍すると体も思考も適応して、自然にインテンシティが高くなる?
「それはあると思います。日本で優れた育成を受けて、若いうちにヨーロッパ市場に入り、異国における適応能力を証明して実績を積んで行く。そうすれば間違いなく高いプレー強度を身につけられると思います」
――日本代表の試合を見ると、元ザルツブルクの南野拓実選手(現リバプール)が、ずば抜けて守備戦術が優れている印象を受けました。南野選手は20歳になるタイミングで日本を出ました。若いときにヨーロッパへ行かないと、強度を体に馴染ませるのは難しい?
「もちろん個人の意識が関係しますが、『若ければ若いほど新しいことを身につけられる』というのが、ラングニックの考えです。24歳、25歳をすぎても学べますが、そのスピードやのびしろが限定される。
24歳くらいまで別のスタイルのサッカーをやってしまうと、プレー選択の順番が完成されてしまう。それをリセットするのは簡単ではない。
ラングニックはかつて選手のメンタリティをこう表現しました。『ザルツブルクの選手は夜中2時に叩き起こしても、ボールを転がせばすぐに狩りに行く習性がある』。
こういうふうに無意識にまで浸透させるには、やはり若いほどいいと思います」
「18歳、19歳なら結婚してない場合も多い」
――Jリーグで結果を出してからヨーロッパへ行くべきという考え方もありますが、「新しいスタイルを身につける」という点では、10代での渡欧にメリットがあるわけですね。