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内田篤人も酒井高徳も認めた「日本サッカーと欧州サッカーの埋められない差」…欧州の日本人監督に聞く“どこが一番違う?” 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images

posted2021/07/27 17:01

内田篤人も酒井高徳も認めた「日本サッカーと欧州サッカーの埋められない差」…欧州の日本人監督に聞く“どこが一番違う?”<Number Web> photograph by Getty Images

2010~2017年までシャルケに在籍した内田篤人。CLベスト4を経験、写真は2017年の退団セレモニーで

「近年、オーストリア2部や3部から欧州5大リーグにステップアップした選手がたくさんいます。

 現在ヴォルフスブルクに所属するジョアン・ビクトルは、ブラジルからオーストリア2部のカプフェンベルガーSVに来て、1部のLASKから声がかかり、ヴォルフスブルクへ移籍しました。

 ザルツブルクの実質的なセカンドチームであるリーフェリンクはオーストリア2部に所属し、ウパメカノ(バイエルン)、シュラーガー(ボルフスブルク)、ライマー、ファン・ヒチャン(ともにRBライプツィヒ)らが経験を積む場として利用しました。

 そして今夏、ザンビア代表FWのパトソン・ダカがレスターへ移籍しました。ダカはザンビア1部でプレーしたあと、リーフェリンクでヨーロッパのサッカーに慣れ、ザルツブルクでエースになった。

 ダカは2017年にアフリカサッカー連盟の最優秀若手賞を受賞しているんですが、そういう有望な若手でもこういう道を辿っているんです。

 日本の若手もヨーロッパの現状を把握して、適切にリーグを選んで欲しい。オーストリア1部は12チーム中5チームがCLやELといった欧州の大会に出るチャンスがあるので、ぜひオーストリアを利用して欲しいです」

――キャリアパスを描いて、最終地点から逆算してリーグを選ぶべきだと。

「最初から欧州5大リーグの1部しか行きませんよというスタンスでは難しい。

 前のインタビューでも言いましたが、ヨーロッパにおける競争はとてつもなく激しい。アフリカや北米の若手がライバルです。国際的な競争の現場に入るという覚悟を持って、日本から来て欲しい。情報不足で楽勝だと思っていると、痛い目にあってしまいます」

 日本サッカーと欧州サッカーは違う競技なのか?

 明確な答えを出すのは難しいが、もし若いときからヨーロッパでプレーしたら自然に身につけられるということなら、ようは意識と慣れの問題だ。

 そもそもラングニックの出現以前は、ヨーロッパのサッカーにしてもこれほど強度が高くなかったのだ。彼らはさぼらず、危機感を持ち、きちんとトレンドを追っているだけとも言える。

 日本サッカー界も思考停止せず、何が違うかを言語化すれば、必ずキャッチアップできるはずだ。内田篤人や酒井高徳が声をあげたのも、Jリーグの可能性を信じ、ヨーロッパのトップに近づけると確信しているからだろう。

 現在、ヨーロッパの3部リーグ以上で監督を務める日本人はモラスだけだ。

「監督界の欧州組」は、これからも日本とヨーロッパの差を埋める作業に貢献してくれるだろう。

(【移籍事情編を読む】「田中碧がわざわざドイツ2部に…しかもなぜレンタル?」は的外れです 欧州サッカーの日本人監督が明かす《移籍最新事情》 へ)

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