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中西哲生が解説する“メキシコ戦の明暗” 久保建英ゴールは「世界的にもハイクオリティ」だけど…〈フランスの攻略法とは?〉
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/07/27 17:04
2-1で難敵メキシコを退けた日本。ただ終盤には直接FKから失点し、その試合運びには課題も見えた
視座を上げるべきだった、と思います。
相手をリスペクトするのは、もちろん大事なことです。ただ、2対0で勝っていて、相手は退場者を出している。メキシコが格上だとしても、「主導権を握っているのは自分たちだ。自分たちのペースに相手を引き込むのだ」という気持ちを、はっきりと打ち出してよかったでしょう。「視座を上げる」とはそういうことなのです。
必死のフランス相手でも「視座を上げる」
28日に対戦するフランスは、ここまで1勝1敗の勝点3です。準々決勝へ勝ち上がるには、日本に勝たなければいけない。決勝戦に臨むメンタリティで、日本を倒そうとしてくるでしょう。
第2戦で南アフリカと対戦したフランスは、3度のビハインドを跳ね除け、後半アディショナルタイムの決勝点で勝利をつかみました。
日本の選手たちが「フランスは強い」という意識を持ち過ぎると、相手を勢いに乗せてしまうでしょう。ここでも大切なのは「視座を上げる」ことです。
今回のチームは、ブラジルにアウェイで勝ったことがあり、3月にはアルゼンチンから勝利をつかんでいる。そして、五輪で優勝経験を持つメキシコを、苦しみながらも2対1で退けた。自分たちと同等あるいは格上の相手との真剣勝負で、リードをした際にどういう視座でプレーするのかを学んできた。視座を上げることはできるはずなのです。
「自分はまだまだ課題がある」とか、「勝ったからといって満足しない」といった気持ちは、レベルアップへの原動力になります。ただ、国際試合の舞台では、いつでも謙虚になる必要はありません。自分たちの立場を客観的に受けとめ、優位に立っているならそのまま勢いに乗っていく、相手を呑み込む、相手をいなす、といった感覚で戦っていいでしょう。
勝点6で首位に立つ日本は、フランス戦で勝点1以上を取ればグループ首位で準々決勝に進出できます。日本がプラス2でフランスはマイナス2という得失点差を考えれば、負けたとしても2位以内を確保できる可能性もある。
勝負のカギは、自分たちの手の中にある。メキシコ戦の学びを生かせば、フランスから勝点1以上を取ることができるはずです。
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