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板倉滉「この4年間でいろいろな選手とやってきた」“みんなの代表”として挑む東京五輪、スタメンを諦めない理由
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2021/07/20 11:03
チーム立ち上げ当初から主力メンバーとして五輪代表を牽引してきた板倉滉
7月5日から始まった事前合宿においても、スタメン組ではなくサブ組でプレーする機会が目に留まる。誰かが怪我をした時に板倉の存在が重要なのは間違いないが、現状はベンチから出場機会を待つ可能性が高い。
それは本人も自覚しているところである。
「オーバーエイジの選手たちが入ってきてスタメン争いが激しくなってきたところは確実にあります。本大会はチーム全員で戦っていかないといけないですが、個人的なところで考えれば、自分はスタメンを狙いに行かないといけない立場だと思っています」
そう、板倉はどんなに難しい状況に立ったとしても諦めない男だった。
たとえば、2017年のU-20ワールドカップを振り返っても、決してスタメンが保証されているわけではなかった。当時のCBは冨安と中山雄太が1番手を務めており、板倉は彼らに次ぐ存在。怪我やターンオーバーの際に出場することが濃厚とされていた。
だが、大会初戦の南アフリカ戦では、直前合宿でテストされたボランチで先発出場。この試合は最終的にふくらはぎを痛めて途中交代となるが、ピッチ上では空中戦の強さと的確な配球で存在感を発揮し、自身の価値を証明して見せた。
同大会では怪我の影響もあって2試合の出場にとどまったが、この活躍が東京五輪世代の中心となっていく契機になったと言っていい。
五輪世代中心で挑んだ2019年のコパ・アメリカの時もそうだ。最初の試合はベンチでチームの戦いを見守るしかなかったが、第2戦のウルグアイ戦では先発出場。結果を残さないといけないプレッシャーの中で落ち着いたプレーを披露し、その出来は4日後のエクアドル戦のスタメンを勝ち取るにふさわしいものだった。
フロンターレでも、オランダでも
川崎フロンターレでも、フローニンゲンでも最初はつまづいている。それでも、すぐに立ち上がり、目の前の壁を乗り越えてきたのは板倉自身である。
これだけの成功体験があるのだから、今回の状況にも全くへこたれていない。いつも通り笑顔を絶やさず、周りと積極的にコミュニケーションを取ってチームを盛り上げつつ、トレーニングからは強度の高いプレーを前面に出して虎視眈々とスタメンの座を狙っている。
「常にスタメンを奪いにいくつもりで練習からやっていますし、そこで『ベンチでいいや』、『自分が出た時に頑張ればいいや』という気持ちでやっていてはダメだと思います。自分はスタメンの選手をどんどん脅かしていくような存在になっていかないといけない。自分がスタメンを獲ってやるという気持ちを強く持っています」