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遠藤渓太&原口元気のウニオン、戦術は“ハリル型っぽい”? 日本代表が“W杯で格上に勝つ”ため参考になるスタイルとは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images/JMPA
posted2021/07/12 06:00
遠藤渓太と原口元気。2人の日本人アタッカーとウニオンの戦いぶりに、新シーズンは注目したい
その理由は、以前よりもJリーグとブンデスリーガのレベルの差が広がっていることに加え、近年の日本人選手の移籍が低年齢化しており、いきなりブンデスリーガ1部でプレーするのは、2010年代前半とは比較にならないくらい難しくなっているからだ。
にもかかわらず、遠藤はいきなり1部のクラブに移籍できた。それは日本人に珍しい、シンプルなスピードで勝負できるウインガータイプであること。そんな彼の特長をウニオン側が評価したからだ。
クルーゼも太鼓判を押している
東京オリンピックのドイツ代表にオーバーエイジ枠として選ばれたマックス・クルーゼも太鼓判を押している。
「ケイタは1対1のシチュエーションで多く相手を抜ける選手だ。なぜならスピードがあるから。そういう局面は、ケイタがチームを助けられる最高のチャンスになる」
ここまで見ていても、ウニオンのサッカーと2人の相性が良いことは明らかなのだが、それだけではない。
ウニオンが昨シーズン、バイエルンに一度も負けなかった唯一のチームであることは先に紹介した。その一方で相手に引かれたときには途端にもろさを見せていた。
例えば、ウニオンがリーグ戦で唯一連敗したのがアウクスブルクだった。アウグスブルクは13位で、ウニオンと対戦した際にはリーグでボール保持率が最下位のチームだった(最終的には下から2番目の17位)。
相手に引かれてしまうと、途端に良さが出なくなるのがウニオンだったのだ。
ただ、フィッシャー監督も手をこまねているわけではない。そして、その解決策として日本人選手2人に期待しているのだ。
原口、遠藤が解決策を提示する存在に
原口が相手に引かれた試合で「絶対に攻撃でも違いをつくれる」存在として期待されていることは10日公開のインタビューでも明かされている通りだ。
遠藤についてもそうだ。今季の遠藤は相手に一方的に攻められるような試合で長く起用されてきたが、今後はそれ以外にも期待をかけているようで、フィッシャー監督はこう話している。
「相手が低いところまで引いてきたときには一対一のシチュエーションを挑まないといけないことになる。そのときにはケイタが解決策を提示してくれる」
昨シーズンの大躍進により、新シーズンでは新設されるUEFAヨーロッパカンファレンスリーグに挑戦することになったウニオン。
彼らが見せた格上との賢いサッカーは、日本人にとっても大いに参考になる。そして、そんなチームに新シーズンは2人の日本人が加わるというのは、今後の日本サッカーの行く末を考えるうえでも実に興味深いことなのだ。