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遠藤渓太&原口元気のウニオン、戦術は“ハリル型っぽい”? 日本代表が“W杯で格上に勝つ”ため参考になるスタイルとは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images/JMPA
posted2021/07/12 06:00
遠藤渓太と原口元気。2人の日本人アタッカーとウニオンの戦いぶりに、新シーズンは注目したい
「たしかに、強い相手の時によく使われますよね。(中略)守備に追われる時間が長くなっているときに、僕みたいな選手がいると、カウンターで陣地奪回できると思ってくれているのかもしれませんね」
ゴールの取り方にそのような特徴があるウニオン。だから攻撃にかかわるデータで目立ったものがなくても、2つの指標ではリーグでトップに立っている。
走行距離: 1試合平均120.3キロ
オフサイド数: 85回
つまり、彼らは前線にスペースを作り、オフサイドぎりぎりのパスからチャンスを狙うのだ。
このときキーとなるのが、自陣の低いところから相手ゴール前まで駆け抜ける「長距離のラン」とスペースを一気につく「スピード」である。
そして、ここまで説明すると原口と遠藤がこのチームに必要とされる理由がわかるはずだ。
実は原口は20-21シーズンの2部で走行距離は全選手トップ、スプリント数でも4位なのだ。最も走行距離の長いチームが、2部で最も走った選手の獲得に動く――というのは実にロジカルだ。
ハリルの追い求めていたスタイルに似ている?
それだけではない。ウニオンのサッカーを見ていて思い出すのは、かつて日本代表を指揮したヴァイッド・ハリルホジッチの求めていたサッカーだ。
ハリルホジッチは日本代表監督就任後の最初の活動となった2015年3月には、あえてラインを下げることで前線にスペースを作るように求めていたし、守備でもマンツーマン気味に相手選手をつかまえることを求めており、それゆえに彼は「デュエル」を強調した。
そして、そんな監督に最も評価されていた選手が原口であったことに異論はないだろう。
彼が代表に定着したのも、ハリルホジッチのもとで日本人として初めてW杯最終予選で4試合ゴールを達成したという実績があったからこそ。その意味で、ウニオンのサッカーとの相性は良い。なお、ウニオンでは主にポジションは「8番」と呼ばれるインサイドハーフやトップ下を任されることになりそうだという。
遠藤のドイツ移籍はレアケース
もちろん、遠藤もそうだ。彼への評価の高さは、近年の日本人選手としては"レアケース"の移籍だったことからも明らかだ。昨夏、遠藤は横浜F・マリノスから移籍したが、直接ドイツ1部クラブに加わるのは2017年夏の鎌田大地以来、実に3年ぶりだった。