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「後任は神鳥しかいない」明治ラグビーが新章に突入…新監督が追及する“BIG”、継承されるオフ・ザ・ピッチの態度とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byMeiji University
posted2021/07/09 17:02
明大ラグビー部監督の就任会見で力強く抱負を語る神鳥裕之監督。現役時代はNo.8として大学日本一も経験している
突破口を開いた功労者は、13年から5季にわたり監督を務めた丹羽政彦氏。部員寮に住み込み、オフ・ザ・ピッチの大部分を占める日常生活の規律向上に努めたのだ。
丹羽が就任した13年は帝京大学の最強時代。17年度に大学9連覇という金字塔を打ち立てた真紅の軍団は、岩出雅之監督の指導のもとで日常生活の態度、規律が眩しいほど整備されていた。
そんな帝京大の強さをトップリーグチームの採用担当者として目の当たりにしていた2人こそ、サントリーの田中澄憲と、1学年上の先輩にあたるリコーの神鳥裕之だった。
96年度の大学選手権V2メンバーでもある2人は、リクルーターとして訪れた現場でたびたび一緒になった。リクルートではどこに着目すべきか。何が最も大事なのか――。重ねてきた会話、長い年月の中で、田中前監督の「神鳥しかいない」の確信は生まれた。
「(神鳥新監督は)1学年上の先輩で、大学時代は一緒の部屋で生活したこともあります。トップリーグのリクルート担当を一緒にしていた時期もあり、スポーツ選手である前に一人の人間として、という大事な部分がすごく一致していました。安心して任せられます」(田中前監督)
グラウンドに立つ時間は1、2時間
リコー監督時代のインタビューでも、神鳥新監督はフィールド外の重要性を強調していた。
「たとえば24時間あったら練習でグラウンドに立つ時間は1、2時間くらいで、22、23時間はラグビーと関わっていないですよね。そこで普段から正しい選択、判断が出来るようなクセを付けておくと、グラウンドの中で理性を保ったままプレーができたりします。僕はそこを大事にしてチームを作りたいと思っているんです」
日常生活にメスをいれた丹羽政彦から、その路線を継承して17年にヘッドコーチとなり、フィジカル強化や練習改革などを上積みした田中澄憲。そして、神鳥裕之へ。オフ・ザ・ピッチの整備、充実を土台として復活した新生メイジにふさわしい、正統後継者にバトンが繋がったと言ってよいだろう。