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「後任は神鳥しかいない」明治ラグビーが新章に突入…新監督が追及する“BIG”、継承されるオフ・ザ・ピッチの態度とは?
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph byMeiji University
posted2021/07/09 17:02
明大ラグビー部監督の就任会見で力強く抱負を語る神鳥裕之監督。現役時代はNo.8として大学日本一も経験している
神鳥新監督が志向するラグビースタイルにもオフ・ザ・ピッチは関係している。
「明治には190センチ以上の選手もたくさんいます。サイズの大きい選手たちが勤勉に80分間通して動き続けるチームを作って、ワクワクするようなラグビーを見せられたらいいなと思います」(神鳥新監督)
80分を通して勤勉に動き続ける。8年間指揮したリコーはまさにそんなチームだった。
大阪府出身の神鳥新監督は大阪工大高(現・常翔学園高)から明大を経て、97年にリコー入社。06年の現役引退後、リクルーターを経て13年から指揮官となった。
就任当時38歳だった新人監督が、後にチームを再浮上させるべく行き着いた答えは、ゲームに戻る速さ。倒れてから起き上がるスピードを徹底的に追求した。倒れてもすぐに起き上がり、ポジショニングする。明大ではBIG(バック・イン・ザ・ゲーム)と呼ばれる、地味できついアクションだ。
試合ではボールを持っている選手が注目されがちだが、神鳥はボールを持っていない「オフ・ザ・ボール」を重視し、そのスピードと精度を求めてきた。
ただ注目されない地味なアクションを80分間続ける勤勉さは、オン・ザ・ピッチで急造できない。練習以外の時間でこそ形作られる。そんな信念のもと、神鳥監督は外国人選手にもオフ・ザ・ピッチにおける規律を求め、勤勉なチームを創り上げた。
“ひたむきさ”が神鳥メイジの武器に
“神鳥メイジ“でも勤勉さは重要な能力だ。
今年の明大は厳しいフィットネス練習で培った運動量をベースに、クイックテンポのラグビーを志向する。そのテンポを出すためには80分間「BIG」を繰り返し、ポジショニングを続けなければならない。
そして今年はそんな勤勉さを体現できる選手が多いという。傍目からすると大駒も多いが、SH飯沼主将はひたむきさこそが今年の武器だという。
「今年のチームは目立ったスター選手はあまりいないと思いますが、ひたむきにプレーできます。僕たちの学年(4年生)も一人ひとりが考え、真面目にラグビーができる学年だと思っています」
まさに神鳥新監督の哲学と親和性の高いチームになりそうだ。