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バスケ五輪代表の“歴史的1勝”のためには八村、渡邊以外のアタックが必要だ 「W杯が“あんな結果”になってしまったのだから…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2021/07/02 17:01
国際強化試合のイラン戦に出場した富樫勇樹。日本代表に必要なものを考えている
八村、渡邊に厳しいマークがつくはずだから
PGとして攻撃を操る富樫はこう話している。
「八村選手や渡邊選手などには、相手チームも厳しいディフェンスをしてくるはず。だから、彼らに厳しいマークがつくことでそこに空いてくるスペースを、他の選手たちがどうアタックできるのか。その点については練習からチームとして取り組んでいるところです」
先のW杯の直前の強化試合では、八村が攻撃の中心として獅子奮迅の活躍を見せていた。そして、強豪国ともそれなりに良い戦いを見せられていた。それは、相手の分析よりも、自分たちのシステムの構築に重きを置くテストマッチだったからだ。
徹底的に相手の良さを消し合うW杯では、八村を活かすようなオフェンスを日本が発動しようとしても、ことごとく先回りされてつぶされた。八村がシュートにいけない、あるいはボールを貰えないような場面も多かった。
同じ失敗を繰り返してはいけない。今回のオリンピックでは、八村を筆頭とした海外組の選手たちにマークが集中する局面で、Bリーグでプレーする他の選手たちが活躍しないといけない。
それができれば、今度はマークが手薄になったところで八村たちが活躍する好循環が生まれる。
東京五輪の前に11試合も一緒に戦うチャンスが
7月7日から沖縄で強化試合が3試合組まれているが、海外組の3選手全員が揃うのは難しいと見られている。全員が揃うのは本番直前の7月16日と18日の2試合だけで、すぐに本大会を迎えないといけなくなりそうだ。
そもそもNBA選手には代表での活動日数に制限がある。オリンピックのような主要大会前であっても、活動に制限がかかる。
その一方で、Bリーグで戦う選手たちは、東京オリンピックの前になんと11試合も一緒に戦うチャンスを得られることになった。活動期間の限られた代表で、メジャーな国際大会の前のおよそ1カ月間で、ここまで濃密な時間を過ごせることなど、この先もないかもしれない。
だからこそ、その時間の過ごし方が鍵を握る。
もちろん、そこにあるのは競争だ。
しかし、その先にあるオリンピックでの歴史的な1勝という大きな目標のために、チーム一丸となって成長しようとする、意志と覚悟があるかどうか。
そこに日本のバスケ界の未来はかかっているのである。