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バスケ五輪代表の“歴史的1勝”のためには八村、渡邊以外のアタックが必要だ 「W杯が“あんな結果”になってしまったのだから…」
posted2021/07/02 17:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kyodo News
競争は激しい。でも、競争する選手たちが一丸となって成長に目を向けないと、何かを成し遂げるのは難しい。
現在のバスケットボールの日本代表の活動を見ていると、そう思わされる。
バスケットボールの2020-21シーズンが終わったのにあわせて、東京オリンピックにむけた日本代表の活動も佳境に入ろうとしている。
現況を整理すると、渡邊雄太と八村塁というNBAで活躍するコンビに、オーストラリアのNBLで優勝した馬場雄大の3人はメンバー入りが確実だ。それ以外の選手たちによるメンバー争いが激化している。
6月第3週に行なわれたアジアカップ予選の3試合と、6月第4週に組まれたイラン代表との3回の強化試合がサバイバルレースとなった。なお、現時点では7月4日が東京オリンピックのメンバー決定の一つの“目安”とされている。
その過程で衝撃が走った。日本代表を指揮するフリオ・ラマスがヘッドコーチ(HC)に就任した2017年7月から一貫してメンバーに選ばれ、2018年以降のほとんどの試合でキャプテンを務めていた篠山竜青が落選したからだ。
W杯が“あんな結果”になってしまったのだから
「竜青さんが外れるというのは、チームの誰も考えていなかったことです。これから誰が外れるかわからない状況で、もちろん競争ではあると思うんですけど、この競争のなかでいかに自分が成長できるかどうかを僕としてはメインにしています」
そう語るのは、張本天傑だ。198cmで、3番と呼ばれるスモールフォワード(SF)でも、4番と呼ばれるパワーフォワード(PF)でもプレーできる彼は、海外組の3選手がベンチにいる時間を埋められる貴重な存在である。彼はメンバー決定の目安とされる7月4日の前の最後の試合となったイランとの3戦目で、約18分間で5本の3Pを放ち、4本成功させ、本大会のメンバー入りが濃厚になった。
張本が、競争だけではなく成長に目を向けているのは、今回の合宿の始まる直前にラマスHCからこう言われたからだ。
『W杯が“あんな結果”になってしまったのだから、あそこからいかに成長するかがキーになってくるぞ』
“あんな結果”というのは2019年のW杯で5戦全敗、出場32カ国中31位の成績だったことを指す。