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バスケ五輪代表の“歴史的1勝”のためには八村、渡邊以外のアタックが必要だ 「W杯が“あんな結果”になってしまったのだから…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2021/07/02 17:01
国際強化試合のイラン戦に出場した富樫勇樹。日本代表に必要なものを考えている
3Pの「量」も「質」も乏しいチーム
では、攻撃についてはどうだろうか。
優先されるのは、熱心に取り組んでいる、ディフェンスでボールを奪ってから速攻で得点する形だ。
それが繰り出せない場合の、速攻以外の攻撃、いわゆるハーフコートオフェンスでの現在のシステムについて、ヘッドコーチは具体的に言及している。
「今、取り入れているシステムが4OUT、1INという形です」
読んで字のごとく、攻撃のスタート時にアウトサイドに4人の選手を、インサイドに1人を配置する形だ。指揮官はその効果をこう解説している。
「両サイドのコーナーの2カ所と、上のポジション(ゴールから遠くハーフラインに近いところ)の2カ所に配置してそこからクリエイトするようにやっています。このシステムで、多くなるのが3Pシュートのシチュエーションです」
W杯での日本は1試合あたりの3Pシュート数は32チーム中で30位、成功率も28位だった。
3Pの「量」も「質」も乏しいチームは、相手からすれば非常に守りやすい。インサイドの守備を固めれば良いからだ。
3Pシュートを決められる選手を模索するように
忘れてはならないのは、32カ国参加するW杯に対して、オリンピックにはわずか12カ国しか出場できないということ。それだけハイレベルな大会なのだ。今回の日本代表に求められる成績はあくまで、「オリンピックで歴史的な1勝」を挙げることだが、そのためには3Pシュートを有効に使わないといけない。
Bリーグ発足から5シーズン連続でベストファイブに選ばれ、今季のMVPである金丸晃輔が、ラマス体制下で初めてプレーしたのが昨年2月だった理由もこれで理解できるだろう。W杯で惨敗してから、五輪にむけて3Pシュートを決められる選手を模索するようになったからだ。今回の活動で金丸、安藤周人、辻直人の3人をシューター枠でギリギリまで競わせてきたのもそのためだ。
ただ、3Pシュートを増やすことは、最大の目的ではない。
今回の活動が始まるにあたって、ラマスHCはこんな注文をつけている。
「3Pラインよりも、さらに1m手前から打てるようになって欲しい」
「ピックアンドロールを、今までよりゴールから遠い位置からスタートしてほしい」
現在のオフェンスの最大の目標は、相手が守りづらくなるようなスペース作り、的確なスペーシングにある。