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「うどん大盛にカツ丼+カツ丼」東京五輪エース上田綺世の“大食い伝説”…鹿島で磨き上げた動き出しで狙う金メダル【柴崎岳の衝撃】 

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池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2021/06/25 17:03

「うどん大盛にカツ丼+カツ丼」東京五輪エース上田綺世の“大食い伝説”…鹿島で磨き上げた動き出しで狙う金メダル【柴崎岳の衝撃】<Number Web> photograph by J.LEAGUE

エースとして鹿島アントラーズを牽引する存在に成長した上田綺世

「何個かあるんですけど、まず1つは母親が作るメンチカツですね。高校で寮に入ってから、やっぱり親の作るごはんを食べる機会がなくなった。たまに実家に帰ったときに、僕が好きだったメンチカツを毎回作ってくれていたんですよ」

 お皿いっぱいのメンチカツ。茨城県水戸市の実家に帰れば、いつもそれを楽しみに食べていた。どれだけの量を平らげたのかは想像に難くない。

 そして、もう1つが法政大学時代によく行ったお店に、常連ゆえの待遇がテーブルの上に表れていた。暖簾をくぐって店に入り席につけば、いつも他の席にはない水のピッチャーが置かれる。

「大学のころは、いつも後輩と行っていたうどん屋がありました。大学の近くにあるんですが、関東リーグで試合をして帰ってきてからとか、よく行っていましたね。いつも一緒に行っていた後輩と僕は、食事中にとんでもない量の水を飲むんです。ほんとにその量が尋常じゃなくて、必ずピッチャーで頼んでいたんです。そしたら、だんだんグラスのお冷と一緒に『ピッチャー置いておきますね』と、言わなくても出るようになりました(笑)」

 よく食べて大きくなった体は、上田の強力な武器になった。

 ただし、食で培ったフィジカルで押すのではない。1つひとつのプレーを頭で考えて、こだわりを突き詰めてゴールを導き出してきた。

チームを勝利に導くための引き出し

 上田自身がFWとして考えるコンセプトは、「チームを勝たせること、または勝たせるためのきっかけを作ること」にあるという。

 チームの勝利に向かって、いかに自分の仕事をまっとうできるか。

 それを大前提に、自分は何ができて、どうすれば描くものを実現できるのか。目指すところから逆算して、より詳細なプレーを突き詰めていく。今、自身に掲げる課題とは何か。

「自分の引き出しを増やすことを常に意識しています。というのも、シュートのシーンもそうだし動き出しもそう。プレー全体を含めて、今ある力を常に発揮し続けるのも大事なことですが、自分の特徴にこだわりすぎるのではなく、その力をどんどん大きくしていくだったり、他の武器を増やすことも同時に必要だと思っています。

 たとえば、自分の特徴である動き出し1つとっても、得意な動き出しと苦手な動き出しがないように、いろいろな動きにトライしていく。ただ、動き出しはパサーがいることが前提です。そのパサーの選手たちとうまくコミュニケーションを取りながら、出してほしいところを伝えることは自分なりに取り組んでいます」

【次ページ】 「タロウには無茶な動きをする」

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