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遠藤航に求められる「長谷部誠のような仕事」 …五輪代表を変えた“12分間”と、相手のプレスを無効化する“戦術眼”とは? 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2021/06/16 17:05

遠藤航に求められる「長谷部誠のような仕事」 …五輪代表を変えた“12分間”と、相手のプレスを無効化する“戦術眼”とは?<Number Web> photograph by Getty Images

6月12日に行なわれたU-24日本代表vsジャマイカの試合で、遠藤航は観客を唸らせる試合ぶりを見せていた

 思えば、2018年のロシアW杯でもそうだった。例えば、グループリーグの第2戦で顔を合わせたセネガルはハイプレスをしかけてきた。ただ、所属クラブでリベロを経験していたボランチの長谷部誠がそれを回避するポジションを取り続け、プレスをかいくぐるパスをつないで、相手のプレスを無効化していった。

 あのときの長谷部と同じような仕事を求められるのが遠藤なのである。

終盤およそ12分間の出場で試合ぶりを変えた

 もちろん遠藤にもその自覚はある。今回のU-24の3試合のうち、最も骨のある相手との対戦となった日本のA代表との試合でのこと。

 ベンチスタートだった遠藤は、U-24日本代表で先発した2人のボランチの創意工夫と、それをやぶろうとするA代表の鎌田大地の守備の狙いを的確に把握していた。

「先発のボランチの2人(板倉)滉と(中山)雄太も、1人が低いところに落ちていて、1人が高い位置を取って……という風に上手くやろうとしていました。もちろん、その意識はすごく良かったと思うんです。ただ、(低いポジションを取った選手が)大地につかまっていたので。自分が入ってからは僕と(ボランチでコンビを組んだ田中)碧や、トップ下の(堂安)律と良い距離感でトライアングルを作りながら(相手のトップ下の選手のプレスをさけるように)ボールを動かすようにしました」

 あの試合で遠藤が出場したのは試合終盤のおよそ12分間だけ。にもかかわらず、それ以降のU-24の戦いに安定感をもたらしたのは、的確な戦術眼をもってチームに変化を加えたからだった。

日本の良さをつぶそうとする相手との試合に

 A代表の森保一監督は、攻撃では選手たちが伸び伸びとやる環境づくりに腐心してきた。だからこそ、双方のチームが良さを出し合うような親善試合などでは素晴らしい攻撃が見られるし、期待が膨らむ。だが、相手が日本のことを研究してくるような公式戦になると、良さが影をひそめてしまう。

 結局、そうした課題を解決する作業は、選手たちの個人戦術に負うところが大きい。

 来月にせまるオリンピックも、過去の戦いの例外とはなりそうもない。むしろ、A代表で臨んだこれまでのアジアカップや“お客さん”として招待されたコパ・アメリカ、あるいは五輪代表チームで挑んだAFC U-23選手権以上に、相手は日本の特長を高いレベルで研究し、防ごうとしてくるだろう。

 そうなったときに、カギを握るのが、遠藤がこの1年で研ぎ澄ましてきた攻撃での戦術眼になるのだ。そして、それはオリンピックが1年延期になったことで日本が手にしたアドバンテージであることを忘れてはならない。

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