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「日本代表のテレビ解説に松木さんがいないと寂しい」松木安太郎63歳に聞く“テレ朝の独占放送が厳しくなって…”
posted2021/06/17 11:01
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Shigeki Yamamoto
近年、アジアカップや五輪アジア予選を含め、W杯アジア予選といえば、テレビ朝日の「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」というキャッチコピーとともに、松木安太郎さんの解説が定番だった。
だが、01年以降テレビ朝日がAFC(アジアサッカー連盟)と結んできた放映権契約も金額が高騰。もはや1社で独占することが難しくなったことは、昨年9月に同局が制作・放送していた「やべっちF.C.」が終了した際に報じられた通り。
直近のW杯2次予選の民放での中継はテレビ朝日の独占ではなく、民放4社(日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日)の持ち回りで行われた。そのため、5月のミャンマー戦は日テレ、6月7日のタジキスタン戦はTBS、15日のキルギス戦はフジテレビで放送され、そこにテレビ朝日の解説の顔ともいえる松木さんの姿はなかった。
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テレビ画面を通じ、日本代表の戦いぶりを見ながら、どこか物足りなさを感じた人も多いのではないだろうか。ときに応援団と化してしまう松木さんの解説に対しては、賛否両論ある。だが、緊迫した展開ではもちろん、実力差が大きい相手との退屈な試合まで、観ている人以上に感情移入し視聴者を巻き込むようなスタイルを貫いてきた松木さんの不在は、一部から“松木ロス”なる言葉も漏れたほどである。
AFCとテレビ朝日の独占契約が難しくなったいま、松木さんはどんな思いでいるのだろうか(全3回の1回目/#2、#3へ)。
「寂しさというか…これからもずっと観ていたかった」
「寂しさというか、これまで現場で多くの試合を観てきただけにこれからもずっと観ていたかったという思いはあります。僕はテレビ局の人間ではないので契約の詳しいことはわかりません。ただ、かつて日本代表がギリギリで本大会に行けるかどうかというところから解説をやってきましたが、いまは出場枠の増加やアジアにおける日本のレベルが上がったことで、その位置づけも変わってきましたよね。過去を振り返れば、私が出場した86年のメキシコW杯の予選も“ドーハの悲劇(94年アメリカW杯アジア最終予選)”も、出場枠(2枠)の少なさに泣いたわけですから。
それが、少しずつ枠が増加し(現在アジア枠は4.5枠)、次回の予選からはさらに増えるという話もある。日本の安定度は、いまやアジアのなかでトップクラス。サッカーの魅力の1つでもあった緊迫したなかでの戦いというのが少なくなってくることも予想されます。そういう状況で、局が高い放映権料を出すことに二の足を踏むのも自然の流れかもしれません」
確かにW杯2次予選での日本代表の戦いぶりと、その圧倒的な結果を見れば、今後アジアにおけるW杯予選の在り方が問われても不思議ではない。もはや「絶対に負けられない戦い」と煽ること自体が難しい時代になってきたといえるのかもしれない。