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遠藤航に求められる「長谷部誠のような仕事」 …五輪代表を変えた“12分間”と、相手のプレスを無効化する“戦術眼”とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2021/06/16 17:05
6月12日に行なわれたU-24日本代表vsジャマイカの試合で、遠藤航は観客を唸らせる試合ぶりを見せていた
日本がどこまでやれるのか、不安も残る中で
本大会では、対戦相手は日本についてしっかり研究して、良さを徹底的に消そうとしてくる。その上で、ジャマイカとはケタ違いの強度のプレスをかけてくるはずだ。そのレベルの戦いを強いられたときに、日本がどこまでやれるのかは未知数のままでメンバー発表を迎えることになってしまった。当然、不安も残る。
そうした不安を打ち消す役割を求められるのが、オーバーエイジ枠で選ばれた3選手である。そして、そこで期待がかかるのが、今の遠藤なのだ。
最近では、遠藤について語られる時、どこもかしこも『ツバイカンプフ』がキーワードとして挙げられる。
しかし、本人が興味深い自己分析をしているのをご存知だろうか。
彼は今シーズンの1年間の自身の成長について「攻撃の部分」だととらえている。それが明かされたのが、音声メディア「NowVoice」でのやり取りだった。
熱量がすさまじい遠藤のサッカー論
昨年12月から、遠藤は所属するシュツットガルトの試合のあとに、個人戦術やチーム戦術について、「NowVoice」の自身のページのなかでコアに語ってきた。少なくとも20分、長いときには40分にわたって、語りつくす。たまにシュツットガルトの試合を見る人や、ブンデスリーガのデータに触れるだけの人には、到底ついていけないほどの熱量とインテンシティー、更新頻度だった。遠藤によるチーム&個人戦術の特訓講座と言い換えても良い。そこには本人なりの日本サッカー界への想いがあるそうで、以前、こう説明していた。
「『NowVoice』に関しては(本田)圭佑君からオファーいただいたのですが、どうせやるならば、プライベートな話よりも、サッカーのコアな話をしていこうと。個人的にデュエルや戦術的な部分で何を考えているのかとか、ブンデスのサッカーがどうなのかとか、それをどう代表に還元していくのかなど……チーム戦術に関してもそうですけど、個人戦術に関しても、発信していきたいなと思っています」
この1年間の自身の成長が「攻撃の部分」だとする真意は、遠藤のサッカー論と向き合う覚悟のある者だけが理解できるものだ。
ただ、それらは各種のデータや、試合中のプレーからハッキリと見てとれた。例えば、データの部分。そもそも遠藤のパス数はチーム2位、リーグ全体でも19位なのだが、2つの「アシスト」の項目での貢献度が実はかなり高かった。