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「かわいい後輩」を守ったガーナ戦の吉田麻也に見る、欧州サッカーでの「自己主張とわがまま」の境界線って?
posted2021/06/16 17:03
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
6月の「代表戦シリーズ」では欧州クラブ在籍11年の吉田麻也の発言も注目された。5日にU-24のオーバーエイジ選手として参加したガーナ戦での出来事だ。
チームメイトのMF田中碧が足裏のタックルを受け、倒れ込んだ。その後吉田は、ファウルを犯した相手選手に駆け寄り、ユニフォームを引っ張った。乱闘寸前、という雰囲気にまでなった。
「僕は長谷部(誠)さんみたいに優等生ではないので、かわいい後輩が削られたらやっぱりそこは行かないといけない。それってテレビで観ている人からしたら、オーバーエイジなのに大人気ないなと思うかもしれないですけど、これもゲームマネジメントのひとつ。とくに練習試合でのこういったシーンは、『次やったら許さないぞ』という意思表示を出さないといけないんです」
どう感じられます?
吉田の行動に好感を覚える? 理解できる? あるいは咎められるべき? ちなみにサッカーのルール上では「報復行為」は反則だ。
ロリスとソン・フンミンの大立ち回り
今回は、こういった「強い主張」と「わがまま」の違いは何なのかについて記したい。なぜヨーロッパでは強い主張が繰り返されているのにチームは崩壊しないのか。
前回の原稿でも記したが、2020年7月、トッテナムのGKロリスとFWソン・フンミンがハーフタイムのロッカールームで大立ち回りを演じた。「守備をサボったか」の点を巡ってのことだった。
「美しい」。これを受けて当時の監督ジョゼ・モウリーニョ監督はこう言った。さらに続きがある。
「それはチームが成長するために必要なことだ。そして個人として、より大きな人間性を得るためにもね。そういう反応が出ることに驚きはない」