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コパ・アメリカのとんでもないドタバタ劇…開幕2週間前に開催国変更、ネイマールらが“ボイコット寸前”【東京五輪に似ている?】 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2021/06/16 11:01

コパ・アメリカのとんでもないドタバタ劇…開幕2週間前に開催国変更、ネイマールらが“ボイコット寸前”【東京五輪に似ている?】<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

ボイコットの“首謀者”の1人と言われたネイマールも、コパ・アメリカに参加している

コロンビア、アルゼンチンが開催不可→米国を検討も

 慢性的な財政赤字に苦しむコロンビア政府が、4月半ば、税制改革(事実上の増税)を提案。新型コロナウイルスの感染拡大で経済が低迷し、ワクチン接種も遅れて国民の不満が高まっており、激しい抗議活動が起きた。

 一部が暴徒化し、国内で開催された試合の運営に影響が出たことから、コロンビアサッカー協会が南米サッカー連盟(CONMEBOL)へ大会の延期を要請。しかし、CONMEBOLはこれを却下し、5月20日、コロンビアから開催権を剥奪した。この時点で、アルゼンチンの単独開催か他の共催国を募っての開催かの二者択一となった。

 このような状況で、チリ、エクアドル、ベネズエラなどが共催に名乗りを上げたが、5月以降、アルゼンチンで新型コロナウイルスの感染が急拡大。国民の70%以上が開催に反対する事態となった。開幕をわずか2週間後に控えた5月30日、アルゼンチンサッカー協会は開催権を返上する。

 追い詰められたCONMEBOLは、当初、2015年大会を開催したチリ、2016年に大会創設100周年記念大会を開催したアメリカなどを代替開催地として検討したようだが、最終的に2014年にW杯、2016年にリオ五輪、2019年にコパ・アメリカを成功させたブラジルに開催を打診する。

 ブラジルは、この時点で約47万人の死者(世界で2番目)、約1740万人の感染者(世界で3番目)を出していた。ワクチン接種がある程度進んで死者と感染者の数が減少傾向にあったとはいえ、人口比で死者、感染者がブラジルより約20%少ないアルゼンチンが開催を断念した状況で、このCOMEBOLの判断自体が奇妙だった。

スアレス、アグエロにボイコットを呼びかけた?

 ところが、ブラジルサッカー連盟のロジェリオ・カボクロ会長がジャイール・ボルソナロ大統領にお伺いを立てたところ、かねてから新型コロナウイルスの感染拡大による経済縮小に異を唱えてきた大統領が即座に賛成。これを受けて、カボクロ会長がCONMEBOLに代替開催承諾を告げたのである。CONMEBOLは、カボクロ会長とボルソナロ大統領に深く感謝した(言い換えれば、この2人はCONMEBOLに恩を売ったことになる)。

 しかし、これで一件落着とはならなかった。

【次ページ】 ブラジル連盟会長が慌てた“カゼミーロ発言”とは

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