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コパ・アメリカのとんでもないドタバタ劇…開幕2週間前に開催国変更、ネイマールらが“ボイコット寸前”【東京五輪に似ている?】
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/06/16 11:01
ボイコットの“首謀者”の1人と言われたネイマールも、コパ・アメリカに参加している
カボクロ会長がコパ・アメリカの代替開催についてブラジル代表の選手、監督に全く相談しなかったことに対し、選手が強く反発。国内メディアが、「欧州でプレーする主力選手が大会への出場を拒むかもしれない」と報じた。さらに、「ネイマールらが、親交のあるアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロ(バルセロナ)、ウルグアイ代表FWルイス・スアレス(アトレティコ・マドリー)ら強豪国の主力選手にも大会ボイコットを呼びかけた」という報道があった。
もしブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの南米3強の主力選手が参加しなければ、コパ・アメリカを開催する意義はほぼ消滅する。
ブラジル連盟会長が慌てた“カゼミーロ発言”とは
そして、6月4日のエクアドル戦後、ゲーム・キャプテンを務めたMFカゼミーロ(レアル・マドリー)がブラジルのテレビ局のレポーターから「あなたたちはコパ・アメリカに出場するのか?」と尋ねられ、「それは、すでに誰もが知っている通りだ。欧州でプレーする選手のみならず、代表の全選手、そして監督を含むコーチングスタッフ全員が同じ考えを持っている」として、「8日のパラグアイ戦が終わったら、我々の立場を明確に伝える」と語った。「史上初のコパ・アメリカ中止」が、いよいよ現実味を帯びてきた。
ボルソナロ大統領にチッチ監督解任を約束とも
このカゼミーロの発言を聞いて、カボクロ会長は連盟ではなく選手の側に回ったチッチ監督に激怒。「ボルソナロ大統領にチッチ解任を約束した」という報道が出た。
ブラジル人監督の中で、チッチの能力は突出している。2022年W杯南米予選でも、ここまで完璧な結果を出している。もし今回の件でチッチ監督が解任されるか、あるいは騒動の責任を取って辞任するようなことがあれば、ブラジル代表にとって大きな損失となるのは間違いなかった。
しかし、ボルソナロ大統領を支持する右翼はチッチ監督を「左翼の回し者」と非難。コパ・アメリカ開催に賛成する者は大統領派(右翼)、反対する者は反大統領派(左翼)とみなされ、大会を開催するかどうかが政治的な問題へと転化された(このことは、東京五輪開催を巡る日本の状況と似ている)。
そして、さらに別の問題が起きる。