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コパ・アメリカのとんでもないドタバタ劇…開幕2週間前に開催国変更、ネイマールらが“ボイコット寸前”【東京五輪に似ている?】
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/06/16 11:01
ボイコットの“首謀者”の1人と言われたネイマールも、コパ・アメリカに参加している
女性職員が会長をセクハラ、パワハラ行為で告訴
6月5日、ブラジルサッカー連盟の女性職員がカボクロ会長をセクハラ、パワハラ行為で告訴。翌6日、ブラジルサッカー連盟の規律委員会が、会長に30日間の職務停止処分を下した。
8日のパラグアイ戦後、ゲーム・キャプテンのCBマルキーニョス(パリ・サンジェルマン)が「開催地がどこであろうと、このコロナ禍でのコパ・アメリカの開催に反対する」としながらも、「ブラジル代表のユニフォームを着ることを拒絶しているわけではない」とコメント。これは、「開催には反対で、中止を望むが、もし開催されたらプレーする」という意味と解釈された。そして、選手たちは11日からコパ・アメリカのための代表合宿に参加し、13日のベネズエラ戦でプレーしたのである。
チッチ監督の解任を決意していたと思われるカボクロ会長が自らの不祥事で墓穴を掘って権力を失い、そのことが辛うじてブラジル代表の選手と監督を繋ぎとめたのかもしれない。
ピッチ上ではメッシらが輝いてはいるが
コパ・アメリカは参加10カ国が5カ国ずつ2グループに分かれ、ブラジリア、リオ、ゴイアニア、クイアバの4カ所で行なわれる(サンパウロ、ベロオリゾンテなどの大都市は、新型コロナウイルスの感染状況を考慮して除外された)。6月13日から28日までグループステージで総当たりで対戦した後、7月2日の準々決勝から先はノックアウト方式で行なわれ、決勝戦は7月10日、リオのマラカナン・スタジアムで行われる。
6月13日、コロンビアがエクアドルを1-0で倒した。14日には、アルゼンチンがチリと対戦。アルゼンチンがFWリオネル・メッシ(バルセロナ)の見事なFKで先制したが、チリもFWエドゥアルド・バルガス(アトレチコ・ミネイロ)の得点で追いつき、1-1で引き分けた。
国のバックアップを得て国際スポーツ大会の開催を強行しようとするが、大会運営を担う組織のトップが不祥事で職務を離れる。新型コロナウイルスの感染拡大のため国民の間では反対意見が多く、直前まで開催が危ぶまれる――。これは、東京五輪を取り巻く状況と酷似している。
当面、コパ・アメリカは紆余曲折を経て開幕し、進行している。ただし、もし大会期間中にさらに多くの選手が新型コロナウイルスに感染して離脱するようなら、大会が空中分解するか、開催の意義が大きく損なわれる可能性がある。7月10日の閉幕まで、予断を許さない状況が続きそうだ。