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「ボールをよこせ」は日本人っぽくない? 長友佑都と本田圭佑の「主張」論とヨーロッパでの感覚の違いとは
posted2021/06/16 17:02
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
6月の代表戦の連戦の折、欧州に渡って11年になる長友佑都から「主張」の話が出た。7日のタジキスタン戦(カタールW杯アジア2次予選)に4-1で勝ったゲーム翌日のことだ。
「日本代表というのは日本を代表してるわけで、みんな所属クラブの経験もありますし、もっと主張していいんじゃないかなと思いますね」
確かに前半は9分にこの予選で初めての失点となる同点ゴールを許すなど、低調な内容だった。この試合に出場しなかった長友は、翌日にベンチから見ていた印象を続けた。
「自分が外ではなく(ピッチの)中にいたらこういう指示を出してたな、とかというシーンが凄くたくさん見えた」
この日の日本、じつに6人が国内組という構成だった(未所属の浅野拓磨はカウントせず)。GKからDFラインはすべてJリーグでプレーする選手たちで構成された。
「ボールをよこせ」は日本人っぽくない?
経験豊富な長友による「先輩の助言」で終わらせるのはもったいない。何が重要なのかというと「欧州目線」だ。自己主張。彼自身、2010年7月にチェゼーナに移籍したばかりのころのことを著書『上昇思考』でもこう綴っている。
「ジェスチャーで『ボールをよこせ』『前に出ていけ』と意思表示するなどした」
結果「お前は日本人っぽくないな」と言われた。
「海外には自己主張の気持ちが強い選手が多いものなので、積極的に自分をアピールしていかなければ、存在はどんどん薄れてしまう」
2011年1月31日のインテル移籍後も感じるところがあったという。
「インテルの選手たちのメンタリティは、ひと言でいって図太いくらいだ。日本人全般に対しては、謙虚で、何事に対してもセンシティブだというように指摘されることが多い。それはそれで美徳といえるにしても、サッカーのプレイ面ではマイナス影響も出てきてしまう」
欧州では驚くような自己主張のシーンが
欧州のサッカーシーンからは、時折驚くような自己主張のシーンが発信される。