核心にシュートを!BACK NUMBER

鎌田大地はなぜ日本の攻撃をスムーズにできるのか 「良い意味で自分のプレースタイルにプライドがないんです」 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2021/06/08 11:00

鎌田大地はなぜ日本の攻撃をスムーズにできるのか 「良い意味で自分のプレースタイルにプライドがないんです」<Number Web> photograph by Getty Images

鎌田大地がトップ下に定着してから、日本の攻撃がスムーズに機能している

ポジショニング力向上の要因は?

 鎌田の意識するポジション取りについての能力がここ数年で上がったことは疑いようのない事実だ。

 昨シーズンであれば相手チームの人に強いボランチがいたり、センターバックの選手が背後から激しくつぶしにくるような試合では、なかなか良さが出せなかったり、ボールを失うことも多かった。

 今シーズンの派手な活躍は、ボールを受ける前の動きが向上したことも大きく関係している。

 ボールを受ける前に上手にフリーになったり、プレッシャーをかけてくる相手の動きをしっかり把握できたりしている。だから、良い形でボールに触れて、そこからチャンスを量産してきた。鎌田はその要因をこう話す。

「僕のプレースタイル的にもあまりフィジカルがない分、ポジション取りを大事にしなければいけないんでね」

 では、現在の代表チームで、前線の選手たちが上手く連携できているのは何故なのか。「僕はあまり、わからなくて……」とことわったうえで、鎌田はこんな風に言語化した。

「『相手が嫌だろうな』という場所に入っていくことです。それが今は、うまくかみ合っていると思う」

『相手にとって嫌な』プレーをする共通認識

『相手が嫌だと思う』ようなプレーについては、南野も言及していた。

 あの3人が一緒に出るようになって4試合しかたっていない。コンビネーションが熟成しているわけではない。それでも良い関係を築けているのは、『相手にとって嫌な』プレーをしたり、『相手にとって嫌な』ポジションに入ろうという共通認識があるからだ。

 ここで思い出すのはサイドバックの選手が海外に行ってから、適応する過程でよく言うことだ。

 日本では人に合わせてクロスを蹴っていたけれど、海外では一定のエリアに送ることを意識することでチームメイトに信頼されるし、結果もついてくる。

 その一定のエリアというのは、『相手守備陣にとって嫌なところ』だという。クロスの場合だと相手のキーパーとディフェンダーの間にあるエリアが代表例だ。

 日本にいたときほど言葉も通じないし、気の利くようなパスやプレーがあるわけでもない。それでも多くのゴールが生まれるのは、『相手にとって嫌な』エリアで勝負するという意図が共通しているからだ。

【次ページ】 嫌な動きを繰り返すことが日本のチャンスを作る

BACK 1 2 3 4 NEXT
鎌田大地
南野拓実
大迫勇也

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ