核心にシュートを!BACK NUMBER
鎌田大地はなぜ日本の攻撃をスムーズにできるのか 「良い意味で自分のプレースタイルにプライドがないんです」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2021/06/08 11:00
鎌田大地がトップ下に定着してから、日本の攻撃がスムーズに機能している
「自分はそんなにゴールを取れる選手ではない」
今季は所属するフランクフルトで5ゴール、12アシスト。12アシストはリーグ全体で3位だが、その成績を引き合いに出して、以前こんな風に自己分析をしていた。
「ゴールをもうすこし取りたいなと思いますし、アシストが多いのは別に良いわけではないですが、(この成績は)自分が思っていた通り。自分はそんなにゴールを取れる選手だとは思っていないので。ゴールを取るのが上手い選手はいっぱいいます。チャンスメイクの方が自分には合っている」
さらに鎌田は自らの理想とするポジションはドイツで言うところの「8番」を意味する「ヌマー・アハト」、つまりボランチとトップ下の中間に位置するポジション(インサイドハーフのイメージに近い)であるとしている。その上でトップを任されることについてこう語っている。
良い意味で、自分自身のプレースタイルにプライドがない
「僕の場合は自分のスタイルにあっていないチームで結構やっている。(サガン)鳥栖もそうだったし、フランクフルトもそういうもの(前線からの激しい守備)を求めるチームです。僕は良い意味で、自分自身のプレースタイルにプライドがないんです。人に合わせられるし、『自分がこうしたい』というよりも、『チームに求められていることをまずやらないとな』と考えるので」
こだわりがないことでドイツのMFのなかでもトップクラスの立場に登り詰めた鎌田が、周りを活かしながら前線の潤滑油になっているのは間違いない。
それを踏まえたうえで、前線の攻撃が活性化した要因はどこにあるのか。U-24代表戦のあとに再び話を聞くと、答えが返ってきた。
「今日も真ん中で(パスを)受けるのが難しいなと思ったら、うまくサイドに張ったり、相手のセンターバックもボランチもつけないような位置にあえていたりして。相手が(プレッシャーをかけに)いけないような状況を作ることは意識してやっています」