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乾貴士の活躍で小都市エイバルと日本がつながった縁… 降格も“ロマンあふれる町とスタジアム”の光景は美しかった【激写】
 

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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posted2021/06/02 06:00

乾貴士の活躍で小都市エイバルと日本がつながった縁… 降格も“ロマンあふれる町とスタジアム”の光景は美しかった【激写】<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

エイバルの本拠地イルプア。彼らがリーガ1部の舞台に戻ってくることを期待したい

ビルバオとの“仲が良すぎる”ダービー

 たまたまエイバルという町に住むアスレティック・ビルバオのサポーター達が、午後の試合に先立っての食事会をするところだった。

 そう、インタビュー撮影をするこの日にはシーズン第2節となるエイバル対アスレティック・ビルバオの試合が組まれていた。同じくバスク地方を拠点とするチームとのダービーマッチだ。

 彼らの話で印象に残っていることがある。

“ビルバオとサンセバスチャンの中間に位置するこの地のチームは長い間2部以下のチームだった。

 そのため、町の多くの人が地元クラブとしてエイバルを応援する傍ら、1部で活躍するアスレティックかレアルのどちらかのファンになるんだ。

 ビルバオ間の方が交通の便が良いので、アスレティックファンの方が多いかな。

 それが普通だったから、今1部の舞台でエイバルとビルバオが戦うのが不思議なんだよ”

 そんな話を裏付ける様に、それぞれのチームのユニホームを着たサポーターがごちゃまぜになって仲良くビールを飲む風景があった。

 ダービーを前にしてこんなシーンはここでしか見たことがない。

10万人のカンプノウやベルナベウと対照的な

 乾へのインタビューを終え、シーズンのホーム初戦が行われる会場に向かう。

 10万人規模の収容力のあるカンプノウやベルナベウとは比べるまでもない、むき出しのレンガとトタンで組み立てられた6000人弱収容の町クラブのスタジアムがあった。

 初めて足を踏み入れる、当時1部で最小収容人数のスタジアムでは、コーナーキックを含めこんな近くで撮影したことないよ! という戸惑いをもって撮影をスタートした。

 試合は2-0と格上ビルバオを撃破し、夏の日差しを浴び乗りに乗ったファンの熱気で溢れ最高の雰囲気だったことが思い返される。

 この試合では、直前に契約が成立した乾はベンチ入りもしておらず、満席の観客の中にその姿を見つけることができた。

【次ページ】 乾の活躍によってエイバルと日本がつながった

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