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宇都宮ブレックスが“国内最強”川崎に「勝てる自信はある」と思えるワケ 「オレたちのあのシーズンを思い出そう!」
posted2021/05/21 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
B.LEAGUE
球技のなかでも、屋内で行なわれ、選手がプレーする舞台と客席との距離が近いために、観客が試合結果に与える影響が大きいのがバスケットボールというスポーツである。
そんなスポーツのホームゲームには、どれだけの価値があるのか。それを知らしめたのが、宇都宮ブレックスだった。
彼らはレギュラーシーズン最終戦から12日間あいて、プレーオフにあたるCS(チャンピオンシップ)の初戦を迎えた。
対するサンロッカーズ渋谷は、対戦相手にコロナ患者が出たことに起因して延期となった試合があったため、CSの4日前にレギュラーシーズン最後の試合を戦っていた。
ブレックスがレギュラーシーズンを早く終えたメリットについては後述するが、一方で、実戦から離れた期間によって硬くなってしまったり、試合でエンジンが温まるまで時間がかかる懸念はあった。
準備期間に差があるなか、ブレックスアリーナで行なわれた渋谷とのCS準々決勝のGAME1は、本拠地での試合のメリットが色濃く出ることになった。
進化していたブーイングの代わりの足踏み
今シーズンはコロナ禍による観客数の制限が設けられているだけではなく、声を挙げての応援が禁止されている。だから、以前ほど相手のフリースロー時にプレッシャーをかけられないアリーナがほとんどだ。
しかし、ブレックスアリーナはそうではなかった。
今シーズンのCSでベスト4に進出したすべてのチームのホームゲームを取材しているが、もっともインパクトがあったと断言できるのは、相手チームのフリースローの際にブレックスのファンが行う、ブーイングの代わりの足踏みだ。
確かに、フリースロー時には声によるブーイングだけではなく、足踏みによって音を出すアクションは、以前からこのアリーナの名物だった。
だが、今回のCSでの足踏みは、過去最高レベルの強度だった。声が出せない分だけ、足踏みへ力がそそがれている。そう確信できる音と揺れがあった。
何より、コロナ禍の制限下でスタートした今シーズン開幕戦からの進化を感じられた。シーズンを通してチームのバスケットボールの質が向上するように、コロナ禍でのブーイングの質も向上していた。
その影響は確かにあった。渋谷は試合開始からフリースローを6本続けて外すことになったのだから。