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宇都宮ブレックスが“国内最強”川崎に「勝てる自信はある」と思えるワケ 「オレたちのあのシーズンを思い出そう!」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2021/05/21 11:00
宇都宮ブレックスの精神的支柱であるライアン・ロシターは川崎との試合にチームを奮い立たせた
違う結末を迎えていた可能性も十分にあった
渋谷の1Q(クォーター)のフリースローは5本すべて失敗しており、これがすべて決まっていたら、ブレックスはビハインドを背負って2Qを迎えなくてはならなかった。
最終の4Qでも、特筆すべき展開があった。試合終了まで残り25.9秒の時点で4点差まで迫られたが、試合終了までの5分間の間に渋谷は5本中4本もフリースローを外したのだ。結局、レギュラーシーズンでは70.3%だった渋谷のフリースロー成功率は、この試合で53.3%まで落ち込んだ。
その全てを決めることは現実的ではないにせよ、せめていつも程度の確率で決まっていたら、違う結末を迎えていた可能性も十分にあった。
CSという舞台でプレッシャーがかかるのはもちろんだし、渋谷のなかでもフリースローを苦手とする選手には楽にシュートを打たせるよりはファールを上手に使って、あえてフリースローを打たせる選択をブレックスがスマートにしていた部分がある。
ただ、それはあの空間でファンが決めづらい環境を作りあげた影響を抜きには語れない。
「接戦になるほど、ファンの影響は色濃く出る」
「ファンのみなさんの拍手や雰囲気が、アウェーチームにとてもやりづらい環境を作っているんだろうなという風に想像します」
そう話すのはブレックスのジョシュ・スコットだ。センターのポジションで、ゴール下の競り合いをファールで止められ、フリースローを打つ機会の多い彼は、こう続ける。
「フリースローというのは、選手がずっと練習してきているもので、『自分のシュートに集中しよう』と思って打ちます。
でも、(足踏みや拍手による)音の大きさや、それが作り出す雰囲気の影響はやはり、出てきます。特にこういった緊張感のある接戦の状況になればなるほど、その辺の影響は色濃く出るんじゃないかなと思います」