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JRA騎手からパラ馬術へ転身の高嶋活士が騎乗のコツを「力まない」と語るも、松岡修造は「僕に一番向いてない」 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/05/30 11:00

JRA騎手からパラ馬術へ転身の高嶋活士が騎乗のコツを「力まない」と語るも、松岡修造は「僕に一番向いてない」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

高嶋活士選手とパートナー馬ケネディを見守る松岡さん。馬に感じさせないよう力を使う姿に驚くばかり

松岡:見た目は障害馬術やクロスカントリーの方が動きが派手でわかりやすいですが、馬場馬術もそうした細かいジャッジのポイントを知っていると面白くなりますね。得点はどういう方法でつけるのでしょうか?

照井:パラ馬術はパラリンピックの中で唯一の採点競技で、各運動項目が10点満点。その合計得点を審判の人数で割った最終得点率(%)で表します。パラリンピックでは70%と少し取れればメダルに近づけますが、高嶋選手は65〜68%ぐらいのレベルにいるので、もう一段階レベルアップを目指しています。

松岡:今、高嶋選手が乗っている馬の名前は「ケネディ」でしたよね。(アメリカの第35代ケネディ大統領になぞらえて)やはりアメリカ生まれですか?

照井:いいえ、ドイツで買った馬です。当時、5歳でした。競馬のサラブレッドとは違う中間種のハノーバー種の馬で、今年12歳になります。

松岡:ドイツ生まれだけど、ケネディなんですね(笑)。彼のどんなところが気に入ったんですか?

照井:僕は馬探しのときに「ときめき」を大事にしているんですけれども、ケネディは一瞬で決めました。理由は動きと体型です。この馬は馬術の世界でものになると思いましたね。特に停止したときの姿が良かった。ピッと止まってね。馬は生き物ですから、動きを止めるのがすごく難しいんです。高嶋選手とは2017年からコンビを組んでいますけれど、人も馬も成長して、よくマッチしてきていると思います。人馬を育てるトレーナーとしては嬉しい限りです。

馬の能力を十分に引き出す乗馬技術

松岡:照井さんは高嶋選手のどこを見込んでいますか?

照井:やはり一番は競馬で培った経験と馬に対する情熱ですよね。それと乗馬に対するガッツがある。

松岡:経験や情熱というのはわかりますが、乗馬に対するガッツって何でしょうか?

照井:馬も生き物ですからメンタルの状態がありますよね。人が力ずくで服従させようとすれば反発しますから、優しくしたり労ったりしながらも、競技で勝つためには選手が“リスク”を負わなければなりません。リスクって何かと言えば、ただきれいに乗るだけでなく、その馬の持っている能力を十分に引き出すために、怖がらず、やり切れるメンタルの強さだと僕は思っています。例えば伸長駈歩といって、馬の歩幅を大きく伸ばした駈歩をする運動があるんですけれども、高嶋選手は競馬の厳しい世界で勝負をしてきましたから、必要なときに自分が積極的に馬をリードする度胸があります。つまり、馬の扱い方をよくわかっているということです。

【次ページ】 愛馬ケネディは良きパートナーであり家族の一員

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