松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
JRA騎手からパラ馬術へ転身の高嶋活士が騎乗のコツを「力まない」と語るも、松岡修造は「僕に一番向いてない」
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2021/05/30 11:00
高嶋活士選手とパートナー馬ケネディを見守る松岡さん。馬に感じさせないよう力を使う姿に驚くばかり
松岡:そのお話でいえば僕は“ゼロ”ガッツです。動物に対して、どちらかというと怖がっちゃうので。
照井:(高嶋選手とケネディに向かって)おーい、今日はこれぐらいでいいんじゃないかー。いい感じだったよ。今日は修造さんが見てくれているから特に馬が良く見えるね。かっこいいよ! 修造さんにはパラリンピックのときもそばにいてほしいなぁ(笑)。
高嶋:(練習を終え松岡さんのもとへ来て)こんにちは。はじめまして。
松岡:すごい汗ですね。馬場馬術って、ものすごく優雅に見えるので汗をかくイメージがありません。力はあまり使わないんですか?
高嶋:使っているには使っていますけど、馬に感じさせないようにしています。それが伝わっちゃうと馬が力んで良い動きができないので。
松岡:うわっ、僕が一番向いてないやつだ。つい力が入っちゃう、松岡“力”造なので。「よし、頑張るぞ!」って力んだら終わりですね。ケネディにかける一番適した言葉って、何でしょう?
高嶋:「一緒に頑張ろうね」とか「一緒に頑張ろうか」ですかね。いつも気楽な感じで声をかけています。
松岡:大事な言葉のような気がします。このコロナ禍で頑張れない自分にもやもやしている人は多いと思いますから、ほどよく力が抜けていて、いい言葉だなぁ。
愛馬ケネディは良きパートナーであり家族の一員
練習を終え愛馬ケネディを馬場から厩舎へ連れていく高嶋選手と松岡さん。練習のときの凛々しいケネディとはまた別のチャーミングな姿に松岡さんは遭遇する。
松岡:ん? それは何をあげているんですか?
高嶋:ご褒美の氷砂糖です。
松岡:えー! 氷砂糖、食べるんだ。
高嶋:見ていてください、舌が出てきますから。他の馬は口に入れたらすぐ噛んで飲み込んじゃうんですけれど、この子はなぜか口の中でしばらく味わうんですよね。そのときに舌がちょっとはみ出すんです。それがすごく不思議で。
松岡:本当だ、舌、出てる! かわいいですね〜。このケネディが馬術に向いている一番の武器って何ですか?
高嶋:皮膚が薄いところです。皮膚が薄い馬は感覚が敏感なので、僕の出した指示が伝わりやすいんです。