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減量していたのに「カップ麺食べながら泣いて、YouTubeで…」 ぱんちゃん璃奈が明かす、突如試合が遠のいた格闘家の思い 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2021/04/29 17:04

減量していたのに「カップ麺食べながら泣いて、YouTubeで…」 ぱんちゃん璃奈が明かす、突如試合が遠のいた格闘家の思い<Number Web> photograph by Def Fellow

計量前日に突如試合の延期が決まったぱんちゃん璃奈。厳しい練習や減量を越えた先の緊急事態宣言だった

目標を見失う選手たち

 もともと我慢を重ねるしかない時期。そこに訪れた3度目の緊急事態宣言だ。団体としてはダメージを最小限に食い止めることが優先だった。それでも細かい話をすると、計量会場や関連業者、地方の選手の交通・宿泊費のキャンセル料は発生する。

「これが“1週間〜10日後に緊急事態宣言を発出します”だったら、また違っていたと思うんですよ。緊急事態宣言の対象にならない神奈川や埼玉の会場や、都内の別会場を探すことができたかもしれない。あるいは無観客試合のための予算の確保や配信の宣伝に動ける。しかし“明後日からです”ではどうにもならない。実際には、ニュースが出始めた4月21日、水曜日くらいから会場側との話し合いは始めていたんですが、それでも実際に発表されてみないと動けないですから」

 そもそもが「イベントに救いのない状況」であることに加え、マッチメイクも難しい。興行も“時短”が求められるから試合数を減らす傾向にあり、そうなると新人の出番が少なくなってくる。コロナ禍で目標を見失い、ジムから足が遠のく選手もいるようだ。

 トップ選手はトップ選手で対戦相手がなかなかいない。これまでは、日本でチャンピオンになったらタイやヨーロッパの強豪と対戦するという流れがあった。だが今は外国人選手が来日できないのだ。日本人の強豪同士が対戦できればいいが、キャリアや知名度に差のある“チャレンジマッチ”のような試合も出てくる。

「それではモチベーションが上がらない、というトップ選手もいますよね。逆に言えば、キャリアの浅い選手にとっては“下克上”のチャンスが生まれやすい状況かもしれません」(宮田)

伸び盛りのぱんちゃんに必要なもの

 コロナ禍でキャリアのあり方が変わってくる選手がいるということだ。実はぱんちゃんもそうだった。当初、MISAKIとの王座決定戦は昨年4月を予定していたが5月になり、さらに8月に延期。相手の持ち味を徹底して潰す戦法で判定勝ちを収めている。

「試合が決まった段階では、1-9か2-8でMISAKI選手が有利だと思ってました。予定通り4月に闘っていたら勝てなかったかもしれないです」(ぱんちゃん)

 見方を変えれば、MISAKIは試合の延期によってベルトを獲り逃したという面もあるわけだ。また今回のぱんちゃんの対戦相手に関しても、強豪日本人からタイ人になり、そこから海外選手は来日不可と揺れ動いた。結果、過去に勝っているMIREYとの再戦に。やはり最初は気合いが入らなかったという。

「でも練習で自信がついたのもあって、相手がどうではなく今の自分のパフォーマンスを見てほしいという気持ちが強くなりました。前回よりも圧倒的な差をつけて勝とうって」

 そうした気持ちの切り替えも、コロナ禍では求められる。ぱんちゃんは次の試合でプロ10戦目、チャンピオンになって2戦目。伸び盛りだから1つの試合から得るものが多い。たくさん試合をし、また強い相手にどんどんぶつかっていきたい時期でもある。だがそれが難しいのだ。

【次ページ】 「練習が仕事、試合は給料日」

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