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「彼が岩瀬のようになってくれたら」戦線離脱が続く巨人で原監督が期待する中川皓太の“試合の流れを作る力”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/04/09 13:30
デラロサとともに巨人リリーフ陣の屋台骨となっている中川
「今年は1(ワン)チームというのをスローガンに掲げているように、今こそ結束が求められているとき。打線にはもうちょっと頑張ってもらわないといけないけど、若い選手はこれをチャンスに自分をアピールして欲しいし、全員が自己犠牲の精神でチームに貢献して欲しい。その上で勝った負けたは我々(首脳陣)の責任。まずは勝てる試合を確実にとっていくこと。そのためのベンチワークというのが大事なると思いますね」
原辰徳監督が語る緊急事態への決意表明だ。
「彼が抑えとして中日の岩瀬のようになってくれたら」
勝てる試合を確実にとっていく。その戦略のカギを握るのが、終盤の逃げ込みの継投で軸になる中川皓太投手の存在となる。
「今年はクローザーとして一本立ちさせたい。彼が抑えとして中日の岩瀬(仁紀投手)のようになってくれたら、この先、ジャイアンツはしばらくクローザーの心配はしなくてよくなると思う」
今季の開幕前に指揮官が抱いていた構想だ。
昨年まではこの中川がセットアッパーを務めて、クローザーにはルビー・デラロサ投手というのが巨人の必勝パターン。このパターンが完成したことが、リーグ連覇の大きなポイントでもあったわけだ。
しかしあえてそれを崩して中川クローザーを推し進める。背景にはもちろん今年だけではなく、将来のチーム編成を確実なものとしていくという編成も担当する全権監督としての原監督の意向があった。
だが事態は一変したのは、開幕直後のチームのもたつきに加えたこのコロナ禍だった。
3月31日に左足小指の骨折で戦線離脱していたデラロサが一軍に復帰すると、1日の中日戦からは昨年通りの中川からデラロサと繋ぐ“勝利の方程式”で勝ちゲームを確実にとってきている。
見事な火消しに成功した
特にこの継投の本領を発揮したのが、8日の阪神戦だった。