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柔道・丸山城志郎がパリ五輪へ向け再始動 阿部一二三との"24分間の死闘"で痛感した課題とは?
posted2021/03/15 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
4月3・4日に福岡市で開催される全日本選抜体重別選手権。毎春恒例の大会だが昨年は講道館杯との共催だったので、単独では今年2年ぶりに行われる。
すでに東京五輪の日本代表は全階級が決まっているため、代表選手たちは出場せず、顔ぶれは例年と異なる。
それでも、柔道界にとっては、重みのある大会にほかならない。6月に予定されている世界選手権の代表選考を兼ねる今回は、東京の先を見据えた舞台でもある。
その1人に、66kg級の丸山城志郎がいる。
昨年12月、阿部一二三と東京五輪代表決定戦を行ない、24分に及ぶ死闘の末、敗れて代表の切符を逃した。通常の大会形式と異なるため、単純には比較できないが、その時点で、国際柔道連盟の公式最長試合時間記録14分56秒、国内の最長記録22分7秒を大幅に上回る試合時間も、拮抗した勝負であったことを物語る。
心身ともに多大な疲労があって不思議はない。
それでもあの試合から約4カ月後の大会にエントリーしてきた。
阿部との死闘で見出した課題
丸山は、少しの休養を挟み、2021年1月の半ばから再始動。
3月9日にはオンラインで天理大学での練習を公開し、各社の取材に対応しているが、丸山の発言は印象的だった。
「今は僕自身の柔道の進化に重点を置いています」
とりわけ、課題としているのは力強さであるという。
丸山の持ち味は、技のキレであったり、スピードにある。ただ、自分には不足している面があることを感じ取った。阿部との代表決定戦で、なおさら感じた。「力ずくでねじ伏せるような、シンプルに強い体が必要」だと思ったのだという。
さらに拮抗した試合では接近戦がポイントになると考え、そこを意識した練習にも取り組んでいる。
丸山は五輪出場を逃した試合にもきちんと向き合い、課題を見つけた。そしてその課題をクリアしようと練習に励んでいる。