オリンピックへの道BACK NUMBER
柔道・丸山城志郎がパリ五輪へ向け再始動 阿部一二三との"24分間の死闘"で痛感した課題とは?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKYODO
posted2021/03/15 17:01
天理大で調整を行なう丸山(左)。現在27歳で2024年のパリ五輪は30歳で迎えることになる
五輪への切符を手にできなかった、そんなアスリートを筆者は今まで多く見てきた。
その中には今回の丸山以上に長期的な休養を要したあとに復帰する選手もいたし、失意から、以前のパフォーマンスを取り戻せない選手もいた。
オリンピックへの出場という夢をかなえて燃え尽きる選手もいる一方で、全力を尽くしても夢が叶わなかったことで、燃え尽きてしまう選手がいる。
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五輪という目標に向け、費やしてきた時間と注いできたエネルギーを考えれば、それも無理はないだろう。
だから、丸山が決定戦での敗北後に休養を挟んだとはいえ、短期間で始動し、さらに進化を志す姿勢を見せたのが印象的だった。
丸山が早々に前を見ることができた手掛かりは、その言葉にある。
「負けて悔しさが残らない試合はないと思いますが、全部出し切ったので」
決定戦へ向けての準備は、気持ち、体、その双方で完璧に近かったという。だから、悔しさはあったにせよ、後悔や敗戦をひきずる感情も強くはなかったし、新たな目標に向けて再び動き出すことができた。
全てを出し切った。それこそが丸山が早々に再始動へ踏み出せた理由だった。
パリへ続く丸山の柔道人生
そして、丸山は柔道の進化の道を志し、進んでいく。今後は全日本選抜体重別、その先の世界選手権という目標を見据えている。
さらに、その先も意識する。
「いちばん奥の方にパリオリンピックがあって、まず1つ1つの階段をのぼっていく感じです」
代表を競ってきた阿部には、このようにメッセージを送る。
「あの舞台で一本を獲りにいく日本柔道を体現してほしい」
4月の全日本選抜体重別選手権で、どのような表情を、どのような姿を見せるのか。どんな柔道を見せるのか。その先にある柔道人生はどのような光景を描くのか。
丸山は、自身の可能性を信じ、進んでいく。