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バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】
posted2021/02/24 17:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
L’Équipe
1956年に創設されたバロンドールは、世界最古の国際的なサッカー個人表彰(創設当初はヨーロッパ最優秀選手賞。その後徐々に範囲を広げ、現在は世界最優秀選手賞)であり、その伝統と権威は他の追随を許さない。ちなみに筆者(田村)も、バロンドールが受賞対象を全世界に拡大した2007年以降、同賞の投票委員を務めている。
そんなバロンドールは、21世紀に入ってかつてない特異な時代を迎えた。リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドによる同賞の独占は10年間続き、この間、ふたりがワンツー・フィニッシュを逃したのは僅か1度だけ。ヨハン・クライフとフランツ・ベッケンバウアーが並び立っていた1970年代でも、両者の受賞は5回に過ぎない。また最多受賞も、ふたりの出現以前はクライフやミシェル・プラティニ、マルコ・ファンバステンの3回である。メッシとロナウドは、バロンドールに関するあらゆる常識を覆したのだった。
それではサッカー史上稀有のメッシ−ロナウド時代とは、いったい何であったのか。バロンドールの歴史のなかでどんな意味を持ち、これからも続いていくものであるのか……。
バロンドールを主催する『フランス・フットボール』誌編集局長であり、20年来の友人であるパスカル・フェレに話を聞いた。前後2回に分けて掲載するインタビューの前編は、フェレが分析するメッシ−ロナウド時代をお届けする。(全2回の1回目/#2に続く)
(田村修一)
メッシ−ロナウド時代のバロンドール
――まずあなたの経歴から教えてください。いつから『フランス・フットボール』誌の編集長を務めているのですか?
フェレ 2017年からだ。それまではずっと副編集長で、2017年に編集長に昇格した。
――とはいえ副編集長の時代からずっとバロンドールには関わっています。訊きたいのは21世紀に入ってからのバロンドールで、どうしてメッシ−ロナウド時代という特殊な状況が出現したのでしょうか?