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バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byL’Équipe
posted2021/02/24 17:00
ロナウドの5回目のバロンドール受賞式にて。左がパスカル・フェレ編集局長
――FIFAと共催したことへの後悔が個人的、あるいは編集部としてありますか?
フェレ それはない。今はまた別の段階へと移った。これもまた経験であり、共催したことに何ら恥ずべきところはない。しかし共催の間は、バロンドールに独自の価値を与えていたものが薄まっていたのは否めない。ただ共催の時期は終わり、新たな段階に入った今は何の後悔もない。
FIFAはザ・ベスト・FIFAフットボールアウォーズという独自の賞を設けて再びバロンドールと競い合うようになった。われわれはバロンドールにのみ専念し、それぞれが独自の道を歩むこととなった。他の表彰と比べたときのバロンドールのアドバンテージは、1956年に創設されたことだ。そこにこの賞の価値と重さがある。
――つまりバロンドール独自の価値を取り戻したということでしょうか?
フェレ たしかに数年の間バロンドールは、監督とキャプテンの投票も加わって独自の価値を失った印象があった。クラシックかつ歴史的なやり方に戻ることに議論の余地はなく、誰も異論を唱えなかった。
バロンドールが定義する「最高」の選手とは
――投票基準がバロンドールの独自価値を示しているといえますか?
フェレ 投票委員はいくつかの基準を踏まえて投票する。選ぶのはその年の最高の選手で、最も素晴らしい選手でもエレガントな選手でもない。それでは「最高」とはどう定義できるのか。それは獲得したタイトルでありコレクティブなパフォーマンスであり規範や行動でありフェアプレーであり築いてきたキャリアであり……。そうした様々な基準を考慮に入れたうえでの選考だ。
私もフランスの投票委員として投票の際には大いに考える。得点ランキングやリーグ戦はじめさまざまな大会の結果を見て決めるのではない。もっとずっといろいろなことを考慮に入れたうえでの選考であり、ずっとシリアスなものだ。
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