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バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byL’Équipe

posted2021/02/24 17:00

バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】<Number Web> photograph by L’Équipe

ロナウドの5回目のバロンドール受賞式にて。左がパスカル・フェレ編集局長

――さきほど史上最高の5人と言いましたがそれは誰ですか?

フェレ あくまでも私の私見で『フランス・フットボール』の見解ではないが、ふたりの他にペレとディエゴ・マラドーナ、ヨハン・クライフを加えた5人を私はあげたい。もちろん他にもジダンやアルフレッド・ディステファノら優れた選手はたくさんいる。

――つまりふたりの時代は、ペレとマラドーナが同時期にプレーするようなものでしょうか?

フェレ まったくその通りで、まったくの偶然でしかないが、メッシとロナウドという史上最高の5人のうちのふたりが21世紀を支配した。とくに2008年からの10年間は、ふたりが圧倒的な違いを見せつけた。

――たとえば彼らが1960年代にプレーしていたら、同じようにバロンドールを独占できたと思いますか。60年代は年ごとに受賞者が替わった時代で、情報もまだ限られていました。

フェレ それは運にもよる。多くの資質が必要であるうえに投票委員が決めることだ。ただふたりの場合は世界規模での支配だ。この15年間彼らはずっと優れていたが、際立っていたのはパフォーマンスの安定だ。それが投票委員に強い印象を与えた。繰り返しになるがいざ投票というときに、投票委員たちは自動的にメッシとロナウドを頭に浮かべ、その後で他の3人を誰にするかを考える。ちょっとカリカチュアライズしたかも知れないが、ふたりはそれほど高いところで安定していた。

 それがメカニカルかつオートマティックな投票委員たちの選択を生んだ。それでもモドリッチが間に割って入ったが、ザンビアやタイや中国、ポーランド、君のような日本の投票委員も、ほぼすべての試合を見て情報が得られるなかで、メッシとロナウドを評価せざるを得ないというのが現実だ。

バロンドールの蹉跌

――そのなかでチャンスを逃した選手たちがいます。2010年のウェズレイ・スナイデルやシャビ、アンドレス・イニエスタ、2013年のフランク・リベリー……。

フェレ それが起こったのは異なる規則が適応されていた時期だ。『フランス・フットボール』がFIFAと共同で表彰していた時期(2010~15年)で、従来のジャーナリストだけでなく代表監督と代表キャプテンも投票に加わった。スナイデルとリベリーはジャーナリストの投票では1位に選ばれたが、監督とキャプテンはメッシとロナウドに投票した。それがあったから2016年からは以前のやり方に戻った。ジャーナリストだけの投票による選出だ。

【次ページ】 バロンドールが定義する「最高」の選手とは

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