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バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byL’Équipe
posted2021/02/24 17:00
ロナウドの5回目のバロンドール受賞式にて。左がパスカル・フェレ編集局長
フェレ ジダンはロナウドがどんな時期にさしかかっていたかを完ぺきに理解していた。30歳を過ぎても年間50試合をこなすのではいい状態は保てない。パフォーマンスを維持するためには試合数を30程度に抑える必要がある。それでレアル・サラゴサやバジャドリー相手に1試合2~3点を決める機会を失うかも知れないが、バイエルンやマンチェスター・シティ、パリ・サンジェルマンとのCLで得点する方がいい。
ジダンはそれをロナウドに理解させた。彼のレアルでの最後の数年は、そのやり方がうまくいった。その後、レアルは監督が替わりロナウドはユベントスに移籍し、そこでもゴールをあげ続けた。ポルトガル代表ではネーションズリーグに優勝した。簡単にとれるタイトルではない。それに今も彼は、2年前と同じ状態を保っていると思う。
――つまりメッシ−ロナウド時代はまだ終わってはいないということですか?
フェレ 終わってはいない。今後何年続いていくかはわからないが、少なくとも今年はそうだ。バロンドールの投票委員たちは投票の季節を迎えたときに、トップ5に入る選手として自動的にメッシとロナウドを頭に浮かべる。というのも10年以上にわたり彼らは毎年常に40ゴール以上をあげている。それが当たり前で簡単なことと考えるのは完全な間違いだ。
ふたりが毎年のように成し遂げてきたことは本当に素晴らしい。同様に優れたふたりが並び立つときを迎えるまでには、少なくとも20~30年が必要だろう。そしてふたりはこれから数カ月先のバロンドール候補者でもある。続くものたちが追いつくのは簡単ではない。
メッシもロナウドも、いまだ有力な候補
――2018年の受賞者はルカ・モドリッチで、昨年も投票が行なわれていたらたぶんロベルト・レバンドフスキが受賞していました。ふたりの時代は終わりの始まりを迎えているといえるのでしょうか?
フェレ もちろん時間がたてばたつほどふたりには簡単ではなくなる。候補者は彼らばかりでなく、投票委員たちの意向もある。毎年のようにバロンドール獲得を目指すのは大変なことだ。そんななかでふたりはあわせて24回トップ3に入った。うち9回がワンツー・フィニッシュで、ちょっと考えられないことだ。
モドリッチが2018年にふたりの支配に割って入り、投票が行なわれなかったので断定はできないが、レバンドフスキも去年同じことをしていたかも知れない。しかしメッシもロナウドも今なおビッグクラブに所属し、どちらもビッグタイトル獲得の可能性を残している。代表でもタイトル獲得のチャンスがある。特にロナウドにはEUROが控えている。今は2月でまだ年のはじめに過ぎないが、ふたりはどちらも卓越していてそれは大きなアドバンテージになっている。いずれにせよ有力な候補であるのは間違いない。