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バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byL’Équipe

posted2021/02/24 17:00

バロンドール選出『フランス・フットボール』誌編集局長が語る“史上最高の5人”とは【メッシ、C・ロナウド…】<Number Web> photograph by L’Équipe

ロナウドの5回目のバロンドール受賞式にて。左がパスカル・フェレ編集局長

フェレ 事情はそんなに複雑ではない。彼らはサッカー史上最高の5人のうちのふたりだ。それが幸運なのか不運であるのか私にはわからないが、ほぼ同時に選手としてのピークを迎えた。そのうえお互いが相手を必要としていた。ロナウドがいなければメッシはここまでよくはなかっただろうし、メッシがいなければロナウドもこれほどよくはなかった。ふたりはお互いを意識しながらキャリアを築き、競い合いながら歴史を構築した。そして今、言えるのは、ロナウドが夢見ているのはたったひとつのことだけだ。それは今年6度目のバロンドールを獲得してメッシに並ぶことだ。

――モチベーションは衰えていないと。

フェレ これまで以上かもしれない。ロナウドは齢を重ねて36歳になったが、存在感を示し続けるためにあらゆる努力をしてコンディションを保っている。彼が衰えることなど考えられない。

 彼には傲慢なところがあるが、それでももはや違いを作り出せなくなるときが来て、年に40ゴールをあげられなくなったとわかったら、潔くスパイクを脱ぐだろう。過去の名声に縋りつきながら現役を続ける気は彼にはない。実際に私生活では徹底した節制をおこない、高い運動能力を保ち続けている。身体面ではほとんど衰えていない。走るスピードは少し落ち、ジャンプ力も多少は落ちたかも知れないが、運動能力全般でいえば経験で十分に補っている。どう発揮すれば効果的かを彼はよくわかっている。

クリスティアーノ、君は最後に何を望むのか?

 また試合数も以前ほど多くはない。トップレベルのパフォーマンスを維持し続けるためには試合数を減らすべきだと、彼に最初に理解させた監督はジネディーヌ・ジダンだった。ジダンはレアルであるときロナウドと顔を突き合わせてこう言った。

「クリスティアーノ、君はシーズンの最後に何を望むのか? リーガの得点王になりたいのか、それともCLの準々決勝や準決勝、決勝でゴールを決めてレアルの優勝に貢献し、新たなバロンドールを獲得したいのか」

 ロナウドの答えはバロンドールだった。ジダンはこう返した。「それならリーガの出場数を減らすべきだ。たしかに得点は減って得点王にはなれないだろう。その代わりにCLを一緒に勝ち取ろう」と。そしてそれが実際に起こったことだった。

――ジダンのもとで彼はとても成熟した印象を受けました。2016年にEUROを制覇し、自身4度目のバロンドールを獲得したときは、自分が生きるために他の選手を生かすやり方を彼が覚えたように見えました。

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