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内藤哲也がIWGPインターコンチネンタル「だけ」に挑む“最大の理由” あの「1.4」の屈辱を晴らすため?
posted2021/02/17 11:03
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
2.11広島、SANADAを下した飯伏幸太の前に現れたのは内藤哲也だった。
1.4の東京ドームで飯伏に敗れ2冠を失った内藤だが、今回は2本ではなく1本だけに挑戦することを明言、2.28大阪城ホールでのIWGPインターコンチネンタル選手権試合が決まった。同時に、2日間にわたって開催される大阪でのビッグマッチでは最高峰のベルトであるIWGPヘビー級王座を賭けた戦いが行われないことも決まった。
ヘビー級の選手が巻くことができるシングルのベルトが4種類存在する現在の新日本プロレスだが、海外色の濃いIWGP USヘビー級を除くと、IWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル、NEVER無差別級はその3つの順番通りに価値があるとされている。
アントニオ猪木から始まるIWGPヘビー級王座の歴史は新日本プロレスの歴史そのものだ。現役の選手ではオカダ・カズチカがIWGPヘビー級至上主義であることを明言し、棚橋弘至も1.30でNEVER無差別級に挑戦するにあたってIWGPヘビー級が最高峰であるとした。内藤も2冠獲得を目指す際に、IWGPインターコンチネンタル王座を持ちながらIWGPヘビー級王座を同時に保持することを「偉業」と称してきた。
しかし今、その価値の順番は曖昧になってきている。
挑戦者がどっちのベルトを欲しいかを選べばいい
きっかけは、2本のベルトを同時に防衛するようになったことだ。内藤は、史上初の東京ドーム2日連続開催となった2020年の1.4と1.5でIWGPインターコンチネンタル、IWGPヘビー級の順にベルトを1本ずつ獲得した。『伝説創るイッテンゴ』という大会のキャッチコピーが示す通り、それは伝説になる出来事のはずだった。
KENTAの襲撃によってなし崩し的にダブルタイトルマッチが組まれはしたものの、この時点で内藤は手に入れた2本のベルトに対し「プロレス界のベルトの頂点はIWGPヘビー級王座」「挑戦者がどっちのベルトを欲しいかを選んでやればいい」と語っていた。
ところが、KENTAとの試合が終わっても、1本ずつに分けてのタイトルマッチが開催されることはなかった。2本あれば2本まとめて奪い合うというこの状況は、まずIWGPインターコンチネンタル王座の価値を曖昧にした。ダブルタイトルマッチは、IWGPヘビー級という最高峰のベルトがそこにある以上、IWGPヘビー級選手権と同じことだった。