バレーボールPRESSBACK NUMBER

「涙が出そうになりました」コロナ感染から復帰、Vリーグ・東レに地元小学校から届いた“優しさ”とは

posted2021/02/12 17:01

 
「涙が出そうになりました」コロナ感染から復帰、Vリーグ・東レに地元小学校から届いた“優しさ”とは<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

東レ小林GMの胸についた「シトラスリボン」は地元小学校からの贈り物。感染者が出る難しい時期を乗り越えて、戦いの舞台に戻ってきた

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

PROFILE

photograph by

Noriko Yonemushi

 今週も無事に試合が開催されるだろうか。週末が近づくにつれそんな不安がよぎる選手やチーム関係者、ファンは多いのではないだろうか。

 コロナ禍の中で昨年10月から開催されているバレーボールのV.LEAGUE。選手やチーム関係者たちは、相手チームだけでなく、新型コロナウイルスとも戦っている。

 その中で感染の当事者となり、一時は活動を停止したチームも、その経験を乗り越えリスタートした。

チームの活動は停止、2週間の隔離

 昨年12月、DIVISION1男子のサントリーサンバーズの選手、スタッフ7人の感染が判明した。12月5、6日に開催予定だったサントリー対東レアローズ戦は延期となり、12月11日からの天皇杯ファイナルラウンドを欠場した。東レも6人の感染が確認され、同じく天皇杯を欠場。どちらも、チームが噛み合い調子が上がっているところだった。

 両チームとも、感染者は幸い重症化することなく症状は落ち着いた。ただ、サントリーは選手全員とスタッフが、東レは選手全員が、濃厚接触者となり約2週間の隔離生活を余儀なくされ、チームの活動は停止した。

 サントリーは12月末から順次、選手が練習に参加できるようになったが、山村宏太監督は、「やはり2週間、本格的なトレーニングができない、外にも出られないということで、かなりボール感覚的にもフィジカル的にも問題があって、いきなり複合的な練習をできるレベルにはなかった」と振り返る。ただ、年末年始にリーグの中断期間があったことは幸いだった。

 以前から感染対策は怠りなく行なっていたが、活動再開後は、普段の生活だけでなく練習中も、お互いの感染リスクを減らすため、スタッフだけでなく選手もマスクを着用するようになった。ロッカールームを2カ所に分けてよりスペースを広くするなど、細部を見直し、さらに感染予防を強化した。

サントリーは年明けから8連勝

 年が明け1月16日に再開された試合に臨む前、山村監督は選手たちに「今日こうして試合ができることに感謝して、まずは楽しんで、自分たちのパフォーマンスを披露しよう」と話した。VC長野トライデンツにセットカウント3-0で勝利し、監督は「選手が試合に飢えていた」と語った。

 主将でセッターの大宅真樹は、約1カ月半ぶりの試合を終えて、感慨深げに言った。

「単純にバレーボールの試合をすること自体が幸せだったし、楽しかった。1点取るたびに嬉しかったし、勝った負けたということよりも、またこうやってチームメイトと思い切り戦える環境が、僕らにはまだ残っているということが、幸せだという気持ちが今日は強かったです」

 その後も、サントリーは活動停止期間の影響を感じさせない好調を維持し、年明けから8連勝で首位に立った。

【次ページ】 変化する事態に苦悩した東レ・篠田監督

1 2 3 NEXT
サントリーサンバーズ
東レアローズ

バレーボールの前後の記事

ページトップ