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「涙が出そうになりました」コロナ感染から復帰、Vリーグ・東レに地元小学校から届いた“優しさ”とは
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2021/02/12 17:01
東レ小林GMの胸についた「シトラスリボン」は地元小学校からの贈り物。感染者が出る難しい時期を乗り越えて、戦いの舞台に戻ってきた
1月23、24日にこのはなアリーナで行われた東レのホームゲームで、東レのスタッフが緑色のリボンを身につけているのが目に留まった。小林GMが「シトラスリボン」だと教えてくれた。
「シトラスリボンプロジェクト」は、コロナ禍で生まれた差別や偏見をなくそうと、愛媛県の有志が立ち上げたプロジェクトで、愛媛特産の柑橘にちなんだシトラス色のリボンや専用ロゴを身につけて想いを表す活動のこと。
プロジェクトのホームページには、
《たとえウイルスに感染しても、だれもが地域で笑顔の暮らしを取り戻せる社会に。そんな願いから、『シトラスリボンプロジェクト』は生まれました》
《感染が確認された方々、私たちの暮らしを守り、支えてくれる方々(医療従事者・「エッセンシャルワーカー」の皆さまなど)が、それぞれの暮らしの場で『ただいま』『おかえり』と言いあえるまちでありますように》
などのメッセージが記されている。
東レの小林GMが胸につけていたシトラスリボンは、東レのホームである静岡県三島市にある三島市立徳倉小学校の西島哲治校長から贈られたものだ。徳倉小は、小林GMが講演を行うなど以前から交流があった。
「大変な思いをされているだろうから」
12月に東レに感染者が確認された際は、SNSや電話で厳しい声も寄せられたという。
そんな時、体育館の事務所で業務をしていた小林GMのもとに、「ちょっとお渡ししたいものがあるので、伺ってもいいですか?」と西島校長から連絡があった。
「ニュースを見て、アローズさんは大変な思いをされているだろうからと、職員で作りました」と小学校の職員たちが作ったシトラスリボンを届けてくれたのだ。
小林GMは、「体育館に寄りつくだけで自分も感染するんじゃないかと、そんなふうに怖がってもおかしくない状況の中で、そうやって持ってきてくださって……。人の優しさに触れて、ちょっと涙が出そうになりました」と感謝する。
今のような状況でも、スポーツを愛する人、応援している人、寄り添いたいと思っている人はいる。
ウイルスへの警戒心が他人への警戒心につながり、ついギスギスしてしまいがちなご時世に、ほっと心が温まる話だった。