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三菱養和→15歳、父の転勤でドイツへ→デュッセルドルフでプロデビュー 20歳の青年が歩むブンデスの茨道 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2021/02/02 17:00

三菱養和→15歳、父の転勤でドイツへ→デュッセルドルフでプロデビュー 20歳の青年が歩むブンデスの茨道<Number Web> photograph by Getty Images

アペルカンプ真大はドイツで異質のキャリアを歩んでいる

 U-23でも貴重な経験をたくさんしてきた。クラブのレジェンドとされるアンドレアス・ランベルツがいたことも大きい。

 昨シーズン限りで現役生活を終えたランベルツは、4部リーグに低迷していた時代からデュッセルドルフに所属し、3部、2部、1部と、すべての昇格を経験した、まさにクラブの生き字引だ。

 2018年にトップチームを離れたが、セカンドチームの一員として4部でプレーし続けていた。実は膝の状態が悪く、身体は思うように動かない。それでも、自身の経験を若手に伝えるために、コーチ兼任でピッチに立ち続けていた。

「U-23ではクラブのレジェンドであるルンピィ(ランベルツの愛称)とか、他にも何人かすごく経験のある選手からたくさん学びました。それに、U-23からは年代別ではなく成人男子のリーグに所属するので、レギオナルリーガ(4部)で大人のサッカーを体験できたことは大事なことだった思います」

プロの茨道を生きる20歳

 順調な成長を見せるアペルカンプは昨年7月にプロ契約を延長した。有望な若手選手が最初のプロ契約を結ぶと、それがゴールだと錯覚する若手も少なくない。しかし、プロ契約は将来を保証するものではない。

 U-19時代の監督は、そのことをよく指摘していたという。「最初の契約じゃなくて、その次の契約がもっと大事だ」と。アペルカンプはその言葉を大切にしていた。

「U-19の監督が言ったことは、いまも頭に残っています。僕が2度目の契約を勝ち取ってここにいられるのは、やっぱりこれまで練習や試合で自分を見せることができた証だと思っています」

 若い頃は夢を見る。夢は大きな支えになる。

 いつかプロの選手としてピッチに立ち、ファンの大観衆を受けて、誰もが憧れるようなスーパープレーをする。そんな姿をイメージして、自身の力に変えていく。現在の自分に、どう向き合い努力してきたのか。がむしゃらさだけでなんとかなるほど甘くはない。そのあたりを、どう捉えていたのだろう?

「一番大事なのは怪我なくピッチに立ちプレーすることだと思います。プロ1年目の僕は、インテンシティにしっかりと慣れないといけない。もちろん若い選手としては試合に出ることが大事ですけど、いま試合に出られていても、怪我とか累積警告で欠場したら、それで違うシチュエーションになる。すぐスタメン復帰できるかはわからない。だから、どんなときでも、たとえ出場時間が10分でも数分でも、死ぬ気で、本気でプレーすることが大事だと思っています」

【次ページ】 刺激的な猛者との対峙と、原口との対話

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#アペルカンプ真大
#デュッセルドルフ

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