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三菱養和→15歳、父の転勤でドイツへ→デュッセルドルフでプロデビュー 20歳の青年が歩むブンデスの茨道
posted2021/02/02 17:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
日本人選手の海外移籍には、いろいろなパターンがあると思われる。まずはJリーグで活躍してからという場合もあれば、高校・大学卒業後すぐに海外へ渡る場合もあるだろう。その中で、今季フォルトゥナ・デュッセルドルフでレギュラーとしてプレーするアペルカンプ真大は、一味違う階段を上ってきた選手だ。
ドイツで成り上がった1人の若武者
三菱養和SC巣鴨ジュニアユースに所属していたアペルカンプは15歳のとき、ドイツ人の父の転勤をきっかけにデュッセルドルフで暮らすことになり、デュッセルドルフU-16の一員となる。育成年代の中で主にトップ下、それ以外にも中盤やサイドバックでプレーするなど、そのまま順調にステップアップして、今季プロデビューを飾った。
欧州トップリーグの育成機関に所属し、セカンドチームまで到達した日本人選手はいる。下部リーグからスタートし、4部リーグまで辿り着いた日本人選手もいる。だが、そこからプロの壁を乗り越え、デビューに至った選手は初めてではないだろうか。
アペルカンプ自身は、その差をどのように感じ、どのように順応してきたのだろうか。
「フィジカル的に見ると4部と2部は似ているところも多いですが、2部はやっぱりボールをもらってから全然時間がないです。U-19からU-23へ移ったときもその違いを感じましたが、U-23とプロはスピード、フィジカル、考える時間が全然違う。ボールをもらう前に、次に何をやるかを瞬時に考えないといけない。U19の頃はボールを持って考える時間が少しはあって、U-23では短くなったけどまだありました。だけど、プロになるとまったくない。考えるスピードが一番の違いだと思います」
資質は、磨かれなければ輝かない。求められるプレーを認識し、それと向き合うための十分な時間と機会が必要になるだろう。そうした意味では、昨シーズンからトップチームの練習に継続して参加できていたことは大きかった。