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あのイブラ様が退場で同僚に謝罪… 今も“毒舌”ながらミラン10年ぶりセリエA制覇への精神的支柱に
posted2021/02/04 11:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
今、ミランから目が離せない。
2010-11シーズン以来となる"冬の王者"戴冠で、やはり10年ぶりのセリエA優勝への可能性が芽生えてきた。
「スクデットの話は4月になってからでいいじゃないか」
指揮官ピオリはそうとぼけるが、背後にピタリとつける2位インテルやひたひたと迫る9連覇王者ユベントス(4位)からのプレッシャーに耐えながら、ポイントリーダーの座を日曜ごとに死守するミランのしぶとい戦いぶりこそ、ミラニスタたちが過去10年間求めてやまなかったものだ。
ユーべに力負け、カップ戦ではインテルにも
ただし、シーズンの道のりがこれから険しさを増すのは自明だろう。
年明けの第16節ではユーベ相手に1-3で力負けし、リーグ戦304日ぶりの黒星を喫した。第19節のアタランタ戦でも0-3と完敗。さらに3日後のコッパ・イタリア準々決勝では、インテルに1-2の逆転負けを喫した。
1月中旬に新型コロナウイルス陽性が発覚したMFチャルハノールや12月中旬に右太ももを痛めたMFベンナセルの欠場が響いた格好で、特に筋肉系の故障は昨年の秋から計8人、延べ11回を数える。
ベストメンバーを組めないどころか、プリマベーラから補充しないと紅白戦もできない厳しい状況となっている。古刹の住職みたいな指揮官は泰然自若としているものの戦力のやりくりは苦しく、若いチームには踏ん張りどころがつづく。
イブラ様いわく「スクデットを恐れるな!」
「優勝を夢見ることを躊躇ってはダメだ。スクデットを恐れるな」
檄を飛ばすのは、39歳の大黒柱イブラヒモビッチだ。
シーズン中盤の苦境を予見していた彼は、昨年末の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙主催の表彰イベントで、己の信条を語りながら若いチームにメッセージを送った。
縁起を担ぐナポリのように、優勝争いに不慣れなチームはスクデットを禁句とすることで自らを呪縛にかけてしまう。一方、常勝ユーベではキャンプ初日から優勝を口にする覚悟のない者に居場所はない。