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“IOCの収益源” アメリカが完全に「脈アリ」状態…東京五輪、開催可能性が高い3つの理由【英国からの視点】
posted2021/01/31 06:02
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph by
Getty Images
国内での世論調査で約8割が“開催不支持”となっている東京五輪。海外からの視点ではどう見えるのか。IOCトーマス・バッハ会長への取材経験も豊富なイギリス・ロンドンの在住記者が指摘する現状とは。
開催国の日本だけでなく、今や世界中で話題になっているのが7月23日に開幕する東京五輪が開催できるかどうか。
1月27日にオンラインで行われた国際オリンピック委員会(IOC)の記者会見には、世界各地から200人以上が参加した。質疑応答で計15人の記者から投げられた質問の大半は、東京五輪絡み。バッハ会長の言葉を借りるなら、中止や再延期、無観客開催の可能性を含めた「あらゆる臆測」が正しいのかどうか、誰もが知りたがっていた。
バッハ会長は、「やれるかやれないかではなく、どのように開催するかだ」と繰り返した。開催は決まっている。だから自分たちが検討していくのは、どのような新型コロナウイルスの感染予防策を講じた上で実施すべきかだ、と。中止や再延期の選択肢はありえないという意思を示した。
1年前、バッハ会長は“建前”を認めた
ただし、その言葉は鵜呑みにできない。昨年3月24日に東京五輪を1年程度延期することが決まった翌日、記者会見で「中止を議論したことはこれまで一度もなかったか」と問われたバッハ会長は、こう言った。
「もちろん中止も検討したし、他の全ての選択肢とともにあった」
それまで、内部向けの会合を含めて中止の選択肢はないと何度も強調してきたが、それが建前に過ぎなかったことを自ら明かしたのだ。
中止、再延期の可能性が“低い”とみる3つの理由
今回も水面下では、中止も想定されているとみる方が自然だろう。では、中止や再延期の可能性は高いのか。筆者は今のところ低いとみている。その理由として(1)慣れ(2)ワクチン(3)スポーツ界の反応の3つを挙げたい。