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“IOCの収益源” アメリカが完全に「脈アリ」状態…東京五輪、開催可能性が高い3つの理由【英国からの視点】 

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長谷部良太

長谷部良太Ryota Hasebe

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posted2021/01/31 06:02

“IOCの収益源” アメリカが完全に「脈アリ」状態…東京五輪、開催可能性が高い3つの理由【英国からの視点】<Number Web> photograph by Getty Images

IOCバッハ会長と東京五輪組織委員会・森喜朗会長

 昨年の冬ごろと比べて、一般人を含めて誰もがウイルスの存在に慣れ、さまざまな対策が分かってきた。人はどんな環境でも、慣れて順応する生き物と言われる。パンデミックが宣言されて間もない昨春は、どう対処していいか分からず、ほとんど全てのイベントが中止や延期になった。

冬の大会におけるコロナ陽性率は0.18%

 現在、状況が好転したとは言えないにもかかわらず、選手や関係者の努力によって多くのスポーツ大会が開催されている。

 マスクや手洗いの徹底、社会的距離の確保、度重なる検査は、既に日常の風景。大会主催者は、感染者が出た場合の対応についても保健当局などから事前に指示を受ける。

 こうした実績が、コロナ禍でもスポーツ大会を実施できるという自信をIOC側に与えている。バッハ会長によると、この冬に行われた7000以上の大会で計17万5000件の検査が実施され、陽性率は0.18%だった。東京五輪の参加選手が1万人だとすれば、陽性者は18人にとどまる。

(2)ワクチン優先の動きに反発もあるが

 2つ目はワクチン接種が広がっていること。ワクチンは万能薬ではなく、その効果や副反応、変異したウイルスへの有効性など、はっきり分かっていないことも多い。それでも、「ある」と「ない」では安心感が違う。

 先ごろ、IOCのご意見番的な存在であるカナダ人のパウンド委員が、「五輪の代表選手はワクチン接種が優先されるべき」と私見を述べ、一部から反発の声が上がった。

 IOCは代表選手のワクチン接種を推奨しつつ、弱者や医療関係者らが最優先されるべきと公式に見解を出し、パウンド氏とは考えが違うことを強調した。

 しかし、すでにハンガリーとセルビアでは選手への優先的なワクチン接種が始まり、競泳大国のオーストラリアやベルギー、デンマーク、ギリシャも同様の動きを見せ始めている。自国の代表選手がワクチンを接種できれば、日本へ送り出す際の不安は減る。

【次ページ】 収益面を支えるNBCと米国側が“微笑んでいる”

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