箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
《箱根駅伝》四強・明大は、なぜ“シードすら”取れなかったのか?「大学駅伝の戦国化が進む」2つの要因
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2021/01/08 11:02
往路14位と大きく出遅れた明治大学。復路でも追い上げは厳しく、総合11位に終わった
実業団の監督にも学生が出す好タイムについて話を聞いたが、「タイムほどの強さがない」と感じている人が多かった。レースに合わせて調整し、コンディションの良い状態で出て、タイムを狙い撃ちしたか、あるいはタイムが出てしまったという選手が多いのではないか、ということだ。
今回の箱根で好タイムを持ちながらも自分らしい走りができなかった選手は、「速さ」を「強さ」に変換することができなかったのだ。
これからも大学間の戦力は均衡化していく
創価大の選手が設定通りあるいは設定以上のタイムで走れていたのは、榎木監督の指示でタイム差やライバルを気にせず、自分の走りに集中できたところにある。この持っていき方は、箱根を戦ううえで他の大学にとって大いに参考になるだろう。
大学にブランドを求める高校生は別として、これからは選手の分散が進み、それぞれの強化策で力を蓄え、大学間の戦力は均衡化していく。箱根強豪校だけの優勝争いという展開も、今大会で創価大がブレイクスルーしたことで、「駅伝カオス」がさらに進行する可能性がある。
来年は「創価につづけ」とばかりに、どの大学が箱根駅伝で《下克上》を起こしてくれるだろうか。いまから楽しみだ。