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《箱根駅伝》四強・明大は、なぜ“シードすら”取れなかったのか?「大学駅伝の戦国化が進む」2つの要因
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2021/01/08 11:02
往路14位と大きく出遅れた明治大学。復路でも追い上げは厳しく、総合11位に終わった
16名中14名が好タイムを持っていたのに……
とはいえ、今大会で優勝候補が苦戦して、中堅校と僅差の戦いを一番印象付けたのは、主力選手らの持ちタイムがダイレクトに反映されなかった事実だろう。
しかも昨年は、学生の好タイムラッシュで自己ベストを更新する選手が多かった。
日本選手権の10000mに出場して27分台を出した田澤廉(駒大)、中谷雄飛、太田直希(ともに早稲田大学)に加え、吉居大和(中大)は5000mでU-20日本を記録を更新し、三浦龍司(順天堂大学)も3000m障害でU-20記録更新するなど素晴らしい走りを見せた。明大は、エントリーメンバー16名中14名が10000mを28分台で走る選手を揃えていた。
しかし、現実には田澤が2区7位、中谷は3区6位、太田は2区13位、吉居は3区15位、三浦は1区10位と、いまひとつの成績で、日本選手権組でタイム通りの実力を発揮したのは1区2位の塩澤稀夕(東海大)と2区3位の池田耀平(日本体育大学)だけだった。明大に至っては、1区16位、2区17位、3区12位と完全に出遅れ、総合11位に沈没。シード権を確保できずに終わっている。
全体を見れば前回大会は7区間で区間新が生まれたが、今年の区間新は1区間のみ。しかも留学生による更新だった。北風や低温など気象条件が厳しかったこともあるが、選手の持ちタイムからすると全体の成績には物足りなさが残る。
東海大監督「レースだけに照準を合わせて…」
この要因について東海大・両角速監督は、「普段の練習を抜いてポイント練習を頑張って評価してもらおうとか、レースだけに照準を合わせてタイムを出そうとする選手が多い。箱根で勝つためには、そういうことじゃない。きつい練習をしつつ、ポイント練習をこなしてレースで結果を出すタフさが必要になる」と語っている。