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【記録で12球団総括】ヤクルト低迷と“HR出すぎの神宮球場” 逆襲に必須な山田哲人の復調、投手陣の課題は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/22 17:01
12球団本拠地の中でも随一の“打者優位”な明治神宮野球場。ヤクルトはその地の利を生かすチームを作れるか
現時点でのNPB通算打率1位(4000打数以上)に君臨する青木宣親は、打率.317、18本塁打51打点といささかの衰えも見せなかった。今オフには3年契約を新たに結んだが、来年1月に39歳になる青木にこれまで以上の期待を寄せるのは難しい。
西浦、塩見、廣岡らが伸び悩み脱却なるか
さらに現時点で近鉄バファローズ唯一の生き残りとなった坂口智隆は、昨年の死球禍から立ち直り一塁と外野を守って規定打席に達した。しかし坂口も来季37歳であり、彼が来季もレギュラーを張るようではヤクルト打線の浮上はおぼつかない。
西浦直亨、山崎晃大朗、塩見泰隆、宮本丈、廣岡大志など有望と言われながら伸び悩んでいる選手が、規定打席に達して山田、村上の前後を打つようになれば打線は充実する。
捕手は2012年以来正捕手を務める中村悠平が開幕早々故障、楽天から来た嶋基宏も骨折で戦線離脱。これがチーム低迷の一因となったが、中堅クラスの西田明央が7本塁打と「打てる捕手」であることを証明した。来季の捕手陣はこの3人を中心に回るのだろう。
オスーナは「活躍する外国人」の要素が多い
ヤクルトは伝統的に安くてよく働く外国人選手を連れてくる球団だ。今季はMLBオールスターにも出た大物アルシデス・エスコバーを取ったものの打率.273はともかく1本塁打とさっぱりだったが、来季のホセ・オスーナは期待できるだろう。
筆者は活躍する外国人選手の条件として「出世前、右打者、MLBでは中距離打者」という3つを挙げている。来日当時のバレンティンがまさにそれだったが、オスーナもこの3条件に当てはまる。山田、村上と中軸を組んで活躍する可能性は結構あるのではないか。
東京五輪があれば約2カ月神宮で試合できない
来季、東京オリンピックがあれば、NPBのペナントレースは7月19日から約1カ月中断する。ヤクルトは7月12日から9月10日まで本拠地神宮で試合をすることができない。
そもそも新型コロナの感染状況いかんでは、今季同様、日程が流動化する可能性もある。しかし戦力的に優位とは言えないヤクルトにとって「乱世」は、むしろチャンスだろう。救援投手陣が「勝利の方程式」を形成することができれば、CS進出の目は充分にあると考える。